英保健安全保障庁、ワクチン開発期間短縮に向け新センター開設を発表
(英国)
ロンドン発
2023年08月10日
英国保健安全保障庁(UKHSA)は8月7日、ワクチンの開発強化に向け、ワクチン開発・評価センター(Vaccine Development and Evaluation Centre、VDEC)を開設すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大を契機に蓄積された新たな変異株用のワクチンの審査能力を生かし、他の致命的な病原体や病気にも対応するとしている。
同施設は、UKHSAのあるイングランド南西部ポートン・ダウンに位置し、200人以上の科学者が在籍する。2,800平方メートルの実験スペースで、約100のプロジェクトに取り組む。
VDECは、保健上の緊急事態につながる恐れのある脅威に対するワクチンの試験と評価を通じ、新たなワクチンの開発支援を行うとしている。VDECの役割は、ワクチンの設計から有効性評価まで、ライフサイクル全体に関わるとしている。
特に鳥インフルエンザやM痘(サル痘、注)など、ワクチンが存在しない、国内でワクチンが承認されていない、もしくはワクチンの改良が可能な病原体に重点を置くとしている。そのほか、一般的な感染症であっても、結核など医療現場に重大な問題をもたらす細菌性感染症も対象とするとしている。
VDECの取り組みは、2021年のG7サミットのコミュニケでも示された、ワクチンの開発期間の100日への短縮にも資するとした()。
(注)WHOは2022年11月に名称を「サル痘(monkeypox)」から「M痘(mpox)」に変更すると発表した。
(松丸晴香)
(英国)
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