オーストラリアのCPI上昇は緩和するも、家賃が高騰

(オーストラリア、ニュージーランド)

シドニー発

2023年08月09日

オーストラリア統計局(ABS)は7月26日、2023年第2四半期(4~6月)の消費者物価指数(CPI)が前期比で0.8%上昇したと発表した。CPI上昇率が1%台を下回る水準となったのは、2021年第3四半期(7~9月)以来だった。前年同期比では6.0%上昇した。

項目別にみると、家賃(前期比2.5%上昇)、ギャンブル ゲーム 無料旅行・宿泊(同6.2%)、その他金融サービス(同2.5%)、新築住宅(同1.0%)の伸びが大きく、CPIを押し上げる要因となった。家賃の上昇は1988年以来最も高い上昇率を記録した。賃貸住宅市場は逼迫し、空室率は低下(注)している。その他金融サービス価格の上昇は、印紙税(不動産を取得する際に課税)と、不動産仲介手数料といった不動産取得に関連するコストの上昇が最も大きな要因だった。なお、新築住宅価格の上昇は緩やかになっている。新規需要が減少し、建材価格の上昇も緩和されてきたことが理由だ。食品価格の上昇(前期比1.6%)が続いており、果実・野菜(同2.4%)、パン・シリアル(同2.9%)の価格高騰に加え、外食や持ち帰り食品の価格上昇(前期比1.7%)が大きな要因だった。

半面、国内旅行・宿泊(前期比7.2%減)、電気料金(同1.8%減)、服飾雑貨(同2.2%減)、自動車用燃料(同0.7%減)は価格が下落したため、CPIの上昇率を一定程度抑える効果となった。

ジム・チャルマーズ財務相は今回の発表を受けて「インフレ圧力が緩やかになっており、喜ばしいことだ。もっと早く緩やかになることを望んでいたものの、前進している」とコメントした。

ニュージーランドでは、前期比1.1%上昇

ニュージーランド統計局は7月19日、2023年第2四半期のCPIが前期比1.1%上昇と発表した。前年同期比では6.0%上昇だった。主に食品(前期比2.2%上昇)、家賃や建設費の上昇で住宅及び関連費用(同1.2%)などの価格上昇が影響した。一方で、輸送の価格は、国際線の航空料金が下がったことや、石油価格が下がったことなどにより、下落した(同1.9%)。

(注)7月6日付の現地不動産コンサルティング企業コアロジックの発表によると、2023年第2四半期の空室率は国内平均で1.2%だった。主な都市では、シドニー1.5%、メルボルン0.8%、ブリスベン1.2%、アデレード0.4%、パース0.7%などだった。

(青島春枝)

(オーストラリア、ニュージーランド)

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