ジェトロ、アグリ・フードテック分野特化型21 トランプVCのアグファウンダーとミートアップを開催
(日本)
イノベーション部スタートアップ課
2023年08月07日
21 トランプと米国・シンガポールに拠点を置くベンチャーキャピタル(VC)のアグファウンダーは7月25日、食品・農業関連のスタートアップや投資家、企業向けの交流会として「アグリ・フードテック・ミートアップ2023」を東京・丸の内で開催した。
米国の調査会社ピッチブックによると、共催のアグファウンダーは2022年度(注1)のアグリ・フードテック分野の投資先件数で世界2位となるなど、世界最大級のアグリ・フードテック特化型VCだ(添付資料図参照)。
アグファウンダーが2020年に出資した大規模細胞培養技術開発の日本のスタートアップ、インテグリカルチャーも今回のミートアップに参加。代表の羽生雄毅氏による細胞培養研究の昨今のトレンドに関するスピーチがあった。
また、アグファウンダーは2022年3月、SDGインパクトジャパンと共同で、日本国内外のアグリ・フードテック分野のスタートアップに投資する「アグファウンダー SIJ Impact Fund」を創設している。ミートアップには、同ファンドを通じたLP出資(注2)を行うアサヒグループホールディングスやキユーピー、明治ホールディングスなども参加し、ミートアップ内のピッチイベントの審査や、21 トランプスタートアップを招いたパネルディスカッションなどを行った。
当ミートアップのメインイベントとなった、国内スタートアップによるピッチには、34社の応募から事前審査を通った以下の6社が出場した。
- エンドファイト:微生物の力で、劣化した土壌環境でも良好な農業生産を実現。
- フェイガー:農業由来カーボンクレジットを生成・販売。
- キニッシュ:バイオテクノロジーを活用し、味に重点を置いた代替食品を開発・販売。
- ファーメランタ:合成生物学により、植物由来の希少成分を微生物で発酵・生産。
- グリーンエース:廃棄野菜を粉末化し、様々な食品に取り入れることでアップサイクル(注3)を実現。
- ジカンテクノ:もみ殻・大麦殻などの1次産業の残渣(ざんさ)を原料に、グラフェンやシリカなどの高純度な素材を製造。
6社によるピッチの結果、エンドファイトが明治ホールディングス賞、ジカンテクノがアサヒクオリティアンドイノベーション賞、そしてファーメランタがピッチ大賞を受賞した。アグファウンダーをはじめ、「アグファウンダー SIJ Impact Fund」関係者は、今回のピッチに参加した日本のアグリ・フードテック企業と今後の投資の可能性を含めた協議を強化していくとしている。
ジェトロは今後も、当大会に出場したスタートアップ6社を含め、日本のアグリ・フードテック・スタートアップの21 トランプ展開を加速させるための支援を実施していく。
(注1)集計期間は2022年4月~2023年3月。
(注2)LP(リミテッド・パートナー)出資とは、ファンドへの出資を通じたベンチャー投資活動。スタートアップに対するファンドを組成しベンチャー投資を実行する場合、ゼネラル・パートナー(無限責任組合員/GP)とリミテッド・パートナー(有限責任組合員/LP)という構成で運営を行う。GPはファンドの管理運営者、LPがファンドへ出資する投資家という位置付け。
(注3)アップサイクルとは、不用品や廃物を再利用して以前よりも付加価値の高い商品を作り出すこと。
(加賀悠介)
(日本)
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