韓国の現代自動車、ベトナムでEV生産販売を発表

(ベトナム、中国、韓国)

ハノイ発

2023年08月09日

韓国の現代自動車と地場タインコングループの合弁会社で、自動車の輸入・製造・販売を行うヒュンダイ・タインコン・ベトナム(HTV)は731日、バッテリー式電気自動車(BEV)「アイオニック5IONIQ 5)」の生産・販売を正式に発表した。生産拠点は202211月に北部ニンビン省で稼働した第2工場(年間生産能力10万台)とみられる。なお、生産台数は明らかにされていない。

アイオニック55人乗りスポーツ用多目的車(SUV)タイプで、全長4,635ミリメートル。エクスクルーシブとプレステージの2タイプが販売される。エクスクルーシブは最高出力が170馬力、バッテリー容量が58キロワット時(kWh)、最大走行距離は384キロ。プレステージは最高出力が217馬力、バッテリー容量が72.6kWh、最大走行距離は451キロという(添付資料表参照)。

販売価格は付加価値税(VAT)込みで、エクスクルーシブが13億ドン(約780万円、1ドン=約0.006円)、プレステージが145,000万ドンの予定だ。地場複合企業ビングループ傘下のビンファストによる同じSUVタイプのBEVの車種VF8とほぼ同水準となる。VF8はバッテリー付きで、エコタイプが129,000万ドン、プラスタイプが147,000万ドンで販売されている(VNエクスプレス731日)。

HTVは、アイオニック5の投入と同時に、事業パートナーとともに充電ステーション開発を推進し、2024年までに全国63省・市の8割をカバーする方針を発表した。現在、ベトナムではEV推進に向けた政府によるインフラ整備や支援の政策が整備されていない。このため、ベトナムでのEV生産で先行するビンファストは2022年までに国内に15万基の充電ステーションを独自に設置するなど、充電インフラの拡充を進めている(2023年4月25地域・分析レポート参照)。

中国ブランド参入の動きも

HTVのほか、地場のTMTモーターズも、北部フンイエン省で中国・上汽通用五菱汽車の五菱・宏光ミニEVの製造に着手。6月に予約受け付けを開始した。最大走行距離は標準タイプで120キロ、販売価格はバッテリー付きで23,900万ドンだ。また、中国のEV大手BYDも、ベトナムでのEV生産に参入する計画を明らかにしている。

これまでベトナムで生産・販売されるEVはビンファストだけだったが、韓国や中国ブランドの参入により、EVの生産地と販売市場としてベトナムの注目度が高まっている。

(萩原遼太朗)

(ベトナム、中国、韓国)

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