フン・セン首相に代わり、長男のフン・マネット氏が新首相に任命

(カンボジア)

プノンペン発

2023年08月08日

カンボジアのノロドム・シハモニ国王は8月7日、勅令(NS/RKT/0823/1772)により、フン・セン首相に代わって、その長男のフン・マネット氏を首相に任命すると発表した。8月22日以降の国民議会での承認を経て、フン・マネット氏が正式に首相に就任し、新閣僚の組閣が行われる見込みだ。

フン・セン首相は7月26日、近く辞任してフン・マネット氏に首相職を引き継ぐことを国営テレビを通じて正式表明していた。カンボジアでは7月23日に、5年に1度の国民議会選挙(総選挙)が実施された。国家選挙委員会の発表によると、投票率は84.58%で、前回の82.17%を上回った。国家選挙委員会の8月5日付文書(345NEC)によると、与党・人民党が下院の全125議席のうち120議席を獲得した見込みで、圧勝となった。フン・セン首相はかねて長男への首相職継承の可能性に言及していたが、今回の選挙結果を踏まえ、人民党による政権基盤は当面盤石だと確信し、このたびの表明に至ったものと思われる。

フン・セン首相は1985年に首相に就任してから約40年間、カンボジアを統治してきた。フン・セン氏は首相退任後も人民党党首にとどまり、2024年2月の上院議員選挙に立候補の上、上院議長就任の意欲を見せている。なお、官僚の中には、自身の高齢を理由に、親族を中心に若い第二世代に引き続くことを表明している者が多い。

フン・マネット氏は現在、陸軍司令官を務めている。米陸軍士官学校を卒業し、英プリストル大学で経済学博士号を取得した。

米国は今回の総選挙が民主主義的なプロセスに反すると非難し、人民党関連へのビザ発給制限などの制裁を発表している。

(大西俊也、トー・タイ)

(カンボジア)

ビジネス短信 685cb66f957f7f6d