英国の出生数が約20年ぶりの低水準、生活費高騰などが影響か
(英国)
ロンドン発
2023年08月29日
英国国家統計局(ONS)は8月17日、2022年のイングランドとウェールズでの出生数は60万5,479人で、2002年以来最低になったと発表した。直近のピークである2012年以降減少傾向が続いており、前年比では3.1%減となった。生活費の高騰や住宅危機、低所得世帯への経済的支援の削減などが影響したとみられる(「フィナンシャル・タイムズ」紙8月17日)。
配偶者として法的権利を有しないパートナー間での出生数は31万1,306人(51.4%)で過半数を占めている。
また同日、ONSは両親の出生国別の出生数についても発表した。2003年の記録開始以来、英国外生まれの女性から生まれた子供の割合は30.3%と過去最高になった。ロンドンでは、2022年に生まれた子供の3人に2人が英国外生まれの親とされている。
両親の出生国として最も多いのは、母親がインド、父親がパキスタンだった。また、初めて、アフガニスタンが外国生まれの母親として最も多い国籍の上位10カ国に入った。2021年のタリバンによる権力掌握を受けた、英国政府による同国民向けの英国への再定住制度が影響しているとみられる。
育児支援サービスを提供するスタートアップもある。Koruキッズは、2016年に設立され、育児支援を行うナニーの派遣サービスを展開している。審査を通過したナニーには、応急処置を含めたトレーニングを提供するほか、利用者からのフィードバックを受けての追加トレーニングも実施している。また、近隣住民同士で担当のナニーをシェアするサービスも実施している。2019年には1,000万ポンド(約18億4,000万円、1ポンド=約184円)を調達したと報じられている。
高齢化も問題に
また、英国では高齢化も進展しており、2035年には成人の2人に1人が50歳以上になると予測されている。こうした状況下で、技術開発が推進されている。
2017年に設立されたバーディ(Birdie)は、介護機関向けのツールと家族用アプリを組み合わせ、高齢者の健康状態をモニタリングし、問題などがあった場合には家族に通知するというサービスを提供する。2022年5月には3,000万ドルを資金調達している。
(松丸晴香)
(英国)
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