英外相、新たな対イラン制裁制度を発表、新基準で対象拡大へ
(英国、イラン)
ロンドン発
2023年07月19日
英国のジェームズ・クレバリー外務・英連邦・開発相は7月6日、イランの敵対行為に対する新たな制裁レジームを導入する意向を発表した。敵対行為に携わる主要なイランの意思決定者・機関を対象とした制裁について、英国政府にさらなる権限を与えるとしている。
具体的には、個人や団体を制裁対象とする際の基準を拡大し、以下に関わる主体を対象とできるようにする。
- 中東または国際的な安定、安全保障を脅かすイラン政権の行為
- イランが提供する武器・武器関連技術の拡散と利用
- イラン政権による民主主義、法の支配、良い統治(グッドガバナンス)の否定
- 英国や英国のパートナー国に対するイラン政権の敵対行為
英国政府は、イランが近年、国外で敵とみなした人物を殺害、または誘拐しようとする動きを強めていると主張。また、同国の諜報機関が、英国を含む欧州で活動する組織犯罪団体と密接な関係を構築し、ネットワークの拡大を図っていると指摘した。
仏独と共同声明を発表
英国政府は、国連安全保障理事会での理事会決議第2231号(注)の執行に関する議論を受け、同日にフランス、ドイツとともに共同声明を発表した。イランの同決議への度重なる違反を受け、管理対象となっている製品、原材料、技術、サービスの移転に関する証拠を得るための検査・報告を国連事務局が行うよう促した。さらに、同決議に基づく主要な規制が10月に失効することに対し懸念を示した。一方で、外交に基づく解決手段を追求する決意をあらためて強調した。
さらに英国政府は、既存の、人権に基づく制裁レジームの枠組みの下で、新たに13の個人・団体を対象に追加すると発表。対象となる個人・団体につき、英国内の資産を凍結し、個人については英国への渡航を禁じる。同レジームは、同国での深刻な人権侵害に責任を負う個人・団体の指定を可能にするもので、これまでに350の個人・団体が対象となっている。
(注)加盟国に対し、拡散上機微な核活動・核兵器運搬手段開発関連の貨物・技術などの移転などの防止、付属書に指定された団体および個人に対する資産凍結、核物質や技術などに関連するイランによる投資の禁止などの措置を求めることなどが規定されている。
(チャウジュリー・クリシュナ)
(英国、イラン)
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