富士フイルム、ナミビアの公立病院に医療用ITシステム導入
(ナミビア、日本)
ヨハネスブルク発
2023年07月06日
富士フイルム南アフリカと同社代理店のユニメディカルサプライズ(Uni Medical Supplies)は6月27日、ナミビアの首都ウィントフークで、医療用ITシステムの引渡式を開催した。式典にはカルンビ・シャングラ保健・社会サービス相をはじめ、約70人が参加した。
シャングラ保健相はスピーチで「公立病院システムはコストも時間もかかり非効率だったが、今回、公正な入札を経て高品質かつ最先端のテクノロジーを導入できた。病気予防なども含め、今後も政府はナミビア国民のより健康な生活環境の向上に取り組むことを約束する。今回のような投資や人材育成も継続していく」と述べた。
ソフトウエアを使ったデータ管理は先進国では一般的だが、これまでナミビアの公立病院では病院ごとに管理システムを導入していたため、診断画像やノウハウの共有ができないことが課題だった。そこで2021年、保健・社会サービス省は公的医療サービス向上を目的に、医療用ITシステムの入札を実施し、ユニメディカルサプライズが落札した。2023年3月にナミビアの公立5病院に設置し、運用を開始していた。
今回5病院に納入された画像保存通信システム(PACS)と放射線ブラック ジャック サイトシステム(RIS)は、放射線検査に関するデータを効率的に病院間で共有することを可能にする。また、5病院のうち4病院では、乳房と胸部の画像の異常を検知する人工知能(AI)システム「REiLI」も導入した。このAIシステムは乳がん、結核、肺炎、肋骨骨折など33種類の胸部異常を識別することができる。
今回対象となった5病院は地域の公的医療の中枢を担っている大規模病院で、国内の医療関連設備としては最大級の設備導入となった。富士フイルムは今回の導入で、これらの病院の利用者約60万人、ナミビア国民の約25%のカバーを目指している。
富士フイルム南アフリカによると、ナミビアは人口密度が世界で2番目に低く、都市間の距離も大きい。今回の導入によって、遠隔地にある病院間で適切にデータ共有が行われ、アーカイブの利便性が向上することで、長期的にも患者の治療に寄与することが期待される。また、国外でもデータサーバーを管理しているため、災害時のデータ補完も可能となる。契約期間は2023年4月から5年間の予定だ。
(堀内千浪)
(ナミビア、日本)
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