10月から衣類・靴の修理費用支援制度を開始

(フランス)

パリ発

2023年07月19日

フランスのベランジェール・クイヤール・エコロジー移行・地域結束大臣付エコロジー担当副大臣は711日、衣類・靴の修理費用を支援する制度を10月から開始すると発表した。20232028年に合計15,400万ユーロのエコ・オーガニズム(注)の基金を充当し、修理される衣類・靴の量を2028年までに35%引き上げることを目指す。衣類・靴の修理代を一部負担することで消費者にリユースを奨励する。

修理の支援制度は、廃棄物削減のインセンティブとして20202月施行の循環経済法(2020年6月4日付地域・分析レポート参照)に盛り込まれている。同法は汚染者負担の原則に基づき、エコ・オーガニズムに対し、生産者や輸入業者が支払うリサイクルのための拠出金をもとに、修理促進のための基金の立ち上げを義務付けていた。

衣類・靴・リネンのエコ・オーガニズムであるリファッション(Refashion)が、同業種の修理促進基金を運営する。同団体が、認定した修理業者による修理代の625ユーロを負担し、消費者の支払う修理代からその分が割り引かれる。負担額は、靴のかかとの修理が7ユーロ、裏地の張り替えが25ユーロなどとなる。電気・電子製品の修理支援制度は20221215日からすでに開始しており、今後は、スポーツ用品、DIY用品、家具などにも対象を拡大する予定だ。

2022年のフランスにおける衣類・靴・リネンの生産量は約83万トン、33億点が市場に投入された。2021年には約24万トンの古着が回収され、そのうち19万トンが選別された。選別後の古着は58%がリユース、33%がリサイクル、9%が固形燃料となった。しかし、古着の回収率は約35%とまだ低く、残りは燃えるごみとして廃棄され、焼却または埋め立てとなっているのが現状だ。

クイヤールエコロジー担当副大臣は、廃棄物削減に向け、短いサイクルで大量生産するファストファッションにも対抗し、2024年導入予定の環境ラベルにより、環境に優しい製品を購入するよう後押しする意向だ。

(注)拡大生産者責任の枠組みの中で、国の認可を得てリサイクルや廃棄物の管理を行う非営利団体。

(奥山直子)

(フランス)

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