米オハイオ州の新興EVトラックメーカーのローズタウンが破産申請
(米国、台湾)
シカゴ発
2023年07月03日
電気自動車(EV)のトラック製造などに従事する米国新興メーカーのローズタウン・モーターズは6月27日、連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請すると発表した。多額の手元資金を残す同社は、承認された場合、無借金で同条の適用を受けることになるという。今後、車両や関連資産の売却プロセスを開始し、買い手となる見込みの企業に対し、債務問題のない状態で資産を提供することを目指す。ローズタウンは「『エンデュランス』(同社の商用EVピックアップトラック)は当局から既に認証された量産車だ。当社の事業を買い取る企業は、製品開発にかかるコストと時間を大幅に減らし、北米の幅広いEVフルサイズトラック市場に参入する足がかりにすることができるだろう」と述べている。
一方、同社は今回の発表と併せて、商業的・財務的な契約違反を理由に、大株主である電子機器受託製造(EMS)大手の鴻海科技集団(フォックスコン・テクノロジー・グループ、本社:台湾)と同社の関連会社を相手に、デラウェア州破産裁判所に訴状を提出したことを明らかにした。フォックスコンはこれに対し、「ローズタウンの財政難の救済を試みたが、最終的に同社が投資契約の一部を履行しなかった」と述べている(ブルームバーグ6月27日)。
両社は2021年9月に協業の基本合意書を締結後、2022年5月に「エンデュランス」の製造委託契約と製品開発の合弁事業契約を締結し、2022年9月に製造を開始した。さらに2022年11月には、ローズタウンがフォックスコンから最大1億7,000万ドルの追加出資を受けることで合意していた。しかし、ローズタウンは5月、フォックスコンからの資金調達を巡る協議が破綻する可能性があると発表し、破産の可能性を示唆していた。
(星野香織)
(米国、台湾)
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