党と政府が民間経済発展に関する意見発表、公平な競争環境整備など31項目
(中国)
北京発
2023年07月26日
中国共産党中央委員会と国務院は7月19日、「民間経済の発展と成長の促進に関する意見」を発表した(文章は7月14日付)。民間経済は中国式現代化を推進する新たな力で、質の高い発展の重要な基盤として、その発展と成長を促進する。主に公平な競争環境や企業の権利保護などについて盛り込んでいる。
具体的には、民間経済に関する(1)発展環境の最適化、(2)政策支援の強化、(3)法的保障の強化、(4)質の高い発展の実現、(5)人材の健全な成長、(6)社会的雰囲気の醸成、(7)組織的実施の強化などについて、計31項目を挙げている。
(1)では、地方政府などが企業に対し、登録や認証、支店設立を求めるなど、市場アクセスの障壁を設けることを禁じるとしている。また、市場介入行為のネガティブリストの定期的な作成や、企業の所有制度を問わない公平な扱いを堅持するとしている。
(2)では、信用制度の整備による資金繰り支援や、政府機関や大企業による中小企業への支払い滞納の解消、民間企業への人材流動を促すとしている。
(3)では、民間企業の財産権や起業家の権利と利益を保護し、行政権や刑事手段の使用による経済活動への干渉や、法執行での地方保護主義を防止する。企業の処罰に当たり、違反行為が初めてで、有害な影響が軽微で適時是正された場合は、行政罰を科さないとする。
(4)では、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援や、デジタル技術の研究開発、データセンター、産業用インターネットなどへの投資を奨励する。また、国際競争力強化のため、コアコンポーネントやハイエンド製品の研究開発、ブランド構築による「中国製」の評価向上を支援する。炭素削減技術・サービス、再生可能エネルギー発電などへの投資によるカーボンニュートラル推進も支援する。企業の活動支援のほか、社会主義的価値観や共産党による指導も強化される。
(5)では、民間経済を代表する人物への党員育成業務を行い、社会主義核心的価値観教育を実施するとしている。
(6)では、民間企業の貢献を評価する世論醸成と同時に、民間企業が共同富裕促進についての責任を自覚し、企業の発展の成果を従業員全体にもたらすよう指導するなど、社会的責任を果たすことを支援するとしている。
(7)では、共産党中央委員会の企業への集中的・統一的指導を堅持するとしている。
(河野円洋)
(中国)
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