英政府、税制関連の法案および政策案を発表、一部税制の簡素化も
(英国)
ロンドン発
2023年07月21日
英国政府は7月18日、次期財政法案に盛り込む可能性がある税制関連の法案および政策案を発表した。意見公募の実施や納税者の予見可能性を高めることを目的に、発表済みのものも含めて23の案が挙げられている。
主な内容は次のとおり(発表済みのものも含む)。
- 中小企業向けの税制優遇策と研究開発費用に対する税控除を統合し、簡素化。2024年4月から導入予定。
- 研究開発集約型の中小企業向け(注1)に研究開発費100ポンド(約1万8,000円、1ポンド=約180円)当たり、27ポンド相当を支援。上述の中小企業向け税制優遇策および研究開発費用に対する税控除に追加で導入。2023年4月以降の支出に対して適用の予定。
- クリエーティブ産業への減税措置である、オーディオビジュアル税額控除を刷新。急成長するアニメーション、子供向けテレビ番組、アニメ映画に対する控除率を39%と、ハイエンドのテレビ番組などと比べ高めに設定。
- ウクライナ人向け自動車税免除。英国においてウクライナのナンバープレートの車両を運転するウクライナビザ保持者に対し、36カ月間、自動車税および車両登録義務を免除。
- 不動産投資信託向けの税制運用を改善。
- 第三者の船舶管理会社もトン数標準税制(注2)に参加することを可能にする。また、船舶リース会社向けの減価償却の上限額を2億ポンドに引き上げ。
このほか、年金の生涯非課税限度額の廃止や脱税に対する刑罰強化なども含まれている。
(注1)適格とされる研究開発費が総支出額の4割以上を占める企業。
(注2)海運事業者のための法人税で、実際の利益に代えて、船舶の純トン数に基づくみなし利益課税を選択することができる制度。
(松丸晴香)
(英国)
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