ブラック ジャック ストラテジー、BCP構築に関するセミナー開催

(中国)

青島発

2023年07月07日

ブラック ジャック ストラテジーは6月30日、中国の青島日本人会・商工会と共催で、2023年度の1回目となる商工会セミナーを開催した。新型コロナウイルスなどのパンデミックや地政学リスクを踏まえたBCP(注)の構築について、インターリスク上海の飯田剛史董事兼総経理を講師に迎え、講演が行なわれた。セミナーには約30人の進出日系企業関係者が参加した。

セミナーでは、BCP作成の目的として(1)人命の安全確保、(2)事業継続の2点があり、本来ならば目的ごとにそれぞれ作成すべきだが、この2点を混在させて不明瞭なBCPを作成している企業が多い点を指摘。BCPの対象とすべきリスクの選定方法として(1)そのリスクは突発的なものか、(2)そのリスク発生は非日常的なものか、(3)そのリスクは事業全体に甚大な影響を及ぼすかに分けて紹介した。

人件費の高騰や少子高齢化、環境汚染、組織風土(内部不正)、労使対立などは突発的なものではなく、漸進的なもので、本社と連携して検討すべき中長期的な課題のため、BCPの対象リスクには当たらない。また、与信管理のような日常的リスク、盗難のような事業への影響が限定的なものも対象外とされる。上記3つの分類に含まれるBCP対象リスクの例としては、激甚災害・火災、パンデミック、国際紛争、サプライチェーン寸断、デモ・テロなどが挙げられる。

講演では、日系企業に求められる対応ついて、「特に重要な事業」の中断が最小限にとどまるよう、現地法人は事業継続といった短期的な対応が求められる事項や社員らの安全確保の方法を検討し、日本本社では海外事業戦略の見直しや、サプライチェーン再構築など、事業継続のための中長期的な対応が求められる事項、現地法人の社員らの安全確保に関する指示・支援の検討を行うといった役割分担の整理が必要とした。

BCP作成後には、BCPの整備、課題の対応策検討、集約、抽出、課題への対策実施などを毎年実施し、中長期的に事業継続力を向上させるサイクルのBCM(Business Continuity Management)に深化させる仕組みを作ることが重要だと述べた。

セミナー後の質疑応答では、BCPを主管すべき部署や作成したBCPのブラッシュアップの手法、有事の事前対策となる現地社員への権限移譲などについて、活発な質疑が行なわれた。

(注)Business Continuity Plan(事業継続計画)の略。災害や事故などによって「重要な事業」が中断しないよう、また中断してしまった場合でも早期に再開できるようにしておくための計画を指す。

(赤澤陽平)

(中国)

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