初の日系大学付属病院、ハノイ市近郊で8月開院へ

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2023年07月04日

ベトナム北部ハノイ市に隣接するフンイエン省のエコパークで626日、東京健康科学大学ベトナム附属病院への運営許可交付の式典が開催された。同病院は、最新の設備で日本式医療サービスを提供する医療機関として、8月に同地で開院の予定だ。

東京健康科学大学ベトナムは、学校法人早稲田医療学園などが母体となり、2016年に設立。ベトナムで100%日本の資本で設立された唯一の大学で、かつ外資による初めての医療系大学だ。学科は看護学科や理学療法学科、臨床検査学科などを擁する。日本語の教育も必修にしており、日本語の使用が可能な高度医療人材の育成を行っている。

開設予定の附属病院は3階建てで、内科や外科、小児科などをそろえる。人間ドックや健康診断なども実施する。第1フェーズとして80床でサービスを開始し、将来は150床まで増床の予定だ。予防医療、健康増進を事業理念とし、大学と病院の機能連携も促進。生活習慣改善の基礎的研究や普及への貢献を目指すという。

ベトナムにおける外資による病院の設立は異例で、日系の大学付属病院は初めてだ。ベトナムで外資による病院を設立するには、資本金が最低2,000万ドル必要とされ、加えて医療機器の輸入なども手続きが煩雑だという。

式典では、保健省のドー・スアン・トゥエン副大臣が運営許可証を交付し、その後、院内見学が実施された。東京健康科学大学ベトナムの久住眞理学長は、初めてエコパークを訪れた2013年から病院の開設まで10年、多くの課題を乗り越えたと振り返った。今後の意気込みについては、「おもいやりをもって、人々の健康と幸福を支えるという理念のもと、日越協働で100年続く医療を提供していきたい」と語った。

写真 式典であいさつする東京健康科学大学ベトナムの久住学長(ハイパーブラックジャック撮影)

式典であいさつする東京健康科学大学ベトナムの久住学長(ジェトロ撮影)

トゥエン副大臣は、患者中心の病院づくりや先進国水準のサービス提供、高度な科学研究の推進などを要望するとともに、ベトナムで日本水準の医療サービスの機会を得られることに期待を寄せた。

フンイエン省保健局のグエン・ティ・アイン局長は、外国資本による高度医療を提供できる、同省で初めての病院とし、「国際基準の医療サービスを提供することで、住民の健康や地域経済に貢献するだろう」と祝辞を述べた。

写真 式典の様子(ハイパーブラックジャック撮影)

式典の様子(ジェトロ撮影)

(萩原遼太朗)

(ベトナム、日本)

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