米自動運転配車サービスのウェイモとクルーズ、サンフランシスコでの展開拡大の採決は2度目の延期へ
(米国)
サンフランシスコ発
2023年07月20日
米国の複数のメディアは7月10日、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)がサンフランシスコ市内で無人の自動運転車(AV)配車サービスを展開するウェイモ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)とクルーズ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)の事業拡大に関する採決について、8月10日までさらに延期したと報じた。7月13日に行われたCPUCの会合で、両社によるサンフランシスコ市内全域での週7日、1日24時間の商用運行の許可に対して採決を行う予定だったが()、CPUCのジュヌビエーブ・シロマ委員が審査を保留し、議題を取り下げた。
同市当局は最近、自動運転車が緊急車両や公共交通機関を妨害した事例があったとして、警鐘を鳴らしている。「サンフランシスコ・スタンダード」(6月6日、16日)によると、ウェイモのAVは5月21日にサンフランシスコの路上で小型犬をひいて死亡させ、クルーズは6月9日に市内の交差点で飼い犬をはねた。運輸省道路交通安全局(NHTSA)によると、2021年6月から2023年6月15日までの累計事故件数はウェイモで147件、クルーズで70件となっている。州別に見ると、カリフォルニアでは212件の事故が報告されている(注)。
採決の再延期が決まった後の7月11日、ウェイモは自社のブログで「われわれは最近、サンフランシスコとフェニックスで10日間にわたって自動車の速度を集計の上、分析した。これによると、約半数(47%)の車両がスピード違反をしていた」と述べた上で、「ウェイモのドライバーは、人間と異なり、適用される制限速度に従うように設計されている」と安全性を強調した。同社はNHTSAのデータを引用しながら、スピード違反が2020年の交通死亡事故数の3分の1、負傷者数の13%を占めていることも示している。一方、クルーズは7月13日、「人間はひどいドライバーだ。米国では毎年、人間が何百万件もの事故を引き起こしている。クルーズの無人運転車は命を救うために設計されている」との全面広告を「サンフランシスコ・クロニクル」紙、「ニューヨーク・タイムズ」紙、「ロサンゼルス・タイムズ」紙、「サクラメント・ビー紙」に出した。さらに、クルーズは「同等の運転環境で(自動運転と)人間のドライバーと比較した場合、当社の車両が関与した衝突事故は92%少なく、全体では54%少ない」と述べている(テッククランチ7月13日)。
(注)自動運転システム(ADS)による累計事故件数で、先進運転支援システム(ADAS)は件数に含まれていない。
(濱真奈)
(米国)
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