党中央政治局会議を開催、自動車や電子製品の消費促進、不動産政策を調整

(中国)

北京発

2023年07月28日

習近平国家主席の主宰で7月24日、中国共産党の中央政治局会議が開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされ、現在の経済情勢と下半期の経済政策について議論した。

会議では、中国経済は引き続き回復しており、質の高い発展や産業のレベルアップが進み、食料・エネルギー安全保障も確保されているとの認識を示した。

その上で、現在の経済運営は新たな困難に直面しているとした。具体的には、内需不足、一部企業の経営難、重要分野での多数のリスク、外部環境が複雑で厳しいことを挙げた。同時に、中国経済発展に関するレジリエンスや潜在性といった、基本的な面は不変との認識を示した。

下半期の経済政策について、マクロ政策では引き続き積極的な財政政策と穏健な貨幣政策を維持し、減税なども進めるとした。人民元レートは合理的なレベルで安定させるとともに、資本市場を活発化し投資者の自信回復も目指す。

内需拡大に向けて、自動車や電子製品、家具などの消費を促進し、体育、文化・旅行などのサービス消費も推進する。また、地方政府の地方特別債(専項債、注1)発行・使用の加速、民間投資促進政策の制定、国際航空便の増加なども盛り込んだ。

不動産政策については、「不動産市場の需要と供給に重大な変化が生じたという新たな情勢に対応し、不動産政策を適時調整・最適化する」とし、低所得者向け住宅の建設を拡大するほか、住宅ストックも活用するとした。また、これまで不動産政策を論じる際に使用してきた「住宅は住むためのもので、投機のためのものではない」との表現は、今回の発表では記載がなかった。

その他、地方債務リスクを緩和するためのパッケージプランの策定・実施、夏場のピーク電力についての供給保障なども盛り込んだ。就業問題については、「戦略レベルに高め、全局的に考える」としている。

今回の会議で決定した政策の方向性について、7月26日付の「環球時報」は「ばらまき方式ではなく、経済構造の最適化により社会の内生的な力を向上させるもの」と評価した。

また、内需拡大に関して、国務院発展研究センター市場経済研究所の王微所長は(1)就業・創業支援、(2)サービス分野での消費拡大、(3)消費税(注2)減税や、教育費・住宅ローンなどの所得税控除の拡大、(4)失業者・若年者向けの消費券配布などが効果的とした(「中国経済新聞網」7月26日)。

(注1)省、自治区、直轄市などが収益性のある公益プロジェクト実施を目的として発行する地方債券。プロジェクトに対応する政府基金収入もしくはプロジェクト収入により、元利返済する。主に地方のインフラ投資などに使用される。

(注2)中国の消費税は、たばこ、酒、自動車、ガソリン、高級化粧品など14種類の商品に対してのみ課される。中国では「増値税」が日本の消費税に相当する。

(河野円洋)

(中国)

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