欧州の農業・食品部門、欧州委の新ゲノム技術植物に関する規則案などを歓迎

(EU)

ブリュッセル発

2023年07月14日

欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体COPA-COGECAは7月5日、欧州委員会が同日発表した自然資源の持続可能な利用に関する政策パッケージ()について声明を発表した(注)。植物のための新ゲノム技術(NGT)に関する規則案と、植物繁殖材料(PRM)および森林繁殖材料(FRM)に関する規則案について、農業事業者の気候変動対策に向けた「よい出発点」と歓迎した。

NGTは、従来の育種技術では開発から上市(市場投入)まで10~15年かかるものを、開発コストを抑えながら数年で上市を可能とする技術。規則案では、企業がNGT作物の新品種を申請し認証を得るための手続きを簡素化、迅速化し、コストを削減する。特に中小企業には、申請前に科学的な助言を行うなどの支援措置も用意する。COPA-COGECAは新規則の下で育種改良が加速すると評価する一方、NGTはEU全域で利用できるようにする必要があるとくぎを刺した。NGT植物、PRM、FRMについて、規則案で検査・評価要件を明確に定め、新品種の持続可能性の検査を強化することは農業事業者の安心や安定的な生産につながるとした。

欧州委は、今回の規則案に特許関連の規制を盛り込まなかったが、市場分析の一環として植物の特許化とそのライセンス許諾やブラック ジャック web公開の仕組みなどが育種分野のイノベーションに与える影響を評価する意向を示しており、2026年までに結果を報告するとしている。これに対しCOPA-COGECAは、2026年までに特許出願されるNGTが急速に増え、関連する遺伝子ブラック ジャック webは非公開とされ、新技術を用いた作物や食品の販売が制限される可能性を指摘し、特許に反対する立場を示した。

食品・飲料事業者団体のフード・ドリンク・ヨーロッパも同日、声明を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。NGT規則案について、NGTなど育種技術におけるイノベーションは、持続可能性が高く自然環境の変化に耐性がある品種を生み出し、安定的で安全な農産物・食品生産を推進すると歓迎。同時に、欧州委や関係者はNGTに関するブラック ジャック web共有や安全性の保証を通じ、消費者の認知や信頼を高める努力が重要だと指摘した。

環境団体などは「NGTは新たな遺伝子組み換え技術(GMO)」と主張し、40万人以上のEU市民の反対署名を集めるなど抗議活動を展開している。欧州委は新規則の適用の経済的、環境的、社会的影響や消費者認知度などについて指標を策定し、関連データを収集し、毎年公表する。最初の報告書は新規則の下で初となるNGT植物の認証から3年後に公表し、その後早ければ2年後に規則の評価を実施するなどして、透明性を確保した規則運用を目指す意向だ。

(注)COPA-COGECAのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますよりダウンロード可能。

(滝澤祥子)

(EU)

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