ロシア衛生当局、福島原発の処理水放出計画に対し日本産水産物の検疫など強化へ

(ロシア、日本)

調査部欧州課

2023年07月10日

ロシアの衛生当局の連邦消費者権利保護・福利監督局(ロスポトレブナドゾル)は7月7日、福島第一原子力発電所で貯蔵されているALPS処理水(注)の海洋放出計画に関連し、日本産水産物に対する衛生・検疫措置や流通管理を強化することを発表した。

ロスポトレブナドゾルは発表で「高濃度の放射性物質を含む日本産の水産資源とその製品(魚、魚製品、魚介類など)がロシア国内で流通するのを防ぐため、これらの製品がロシアに輸入される際の衛生・検疫管理と、流通上での管理を強化するよう、各地方局に指示した」と明らかにした。強化の具体的な内容は言及されていない。また「状況は当局の特別な管理下にある」とした。

日本からロシアに食品を輸出する場合、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県、東京都の6都県産の食品(水産物を除く)については、ロシアの放射性物質基準に適合することを証明するとともに、放射性セシウム含有量が記された日本の政府機関発行の放射性物質検査証明書の添付が必要とされている。ただし、条件に該当する食品以外の日本産食品(水産物を含む)でも、ロシア側でサンプル検査される場合がある。

(注)東京電力福島第一原発の建屋内にある放射性物質を含む水について、トリチウム以外の放射性物質を安全基準を満たすまで浄化した水のこと。ALPSはAdvanced Liquid Processing Systemの略で、多核種除去設備の意味。

(浅元薫哉)

(ロシア、日本)

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