欧州委、運輸部門のグリーン化加速に向けた政策パッケージを発表

(EU)

ブリュッセル発

2023年07月19日

欧州委員会は7月11日、欧州グリーン・ディールで掲げた「2050年までに運輸部門からの温室効果ガス(GHG)排出量の90%削減」の達成のため、貨物輸送の効率性と持続可能性の向上に向けた政策パッケージを発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。具体的には、貨物輸送のグリーン化に関するコミュニケーション(政策文書)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)欧州単一鉄道市場でのインフラ利用に関する規則案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、トラックなど大型車の最大重量・寸法を定める重量・寸法指令の改正案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)運輸サービスのGHG排出量の算出に関する規則案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)から構成される。

鉄道インフラに関する規則案は、貨物と旅客輸送双方で、線路利用の最適化やEU加盟国間の越境列車の運行体制の改善、定時性と信頼性向上を目指し、最終的にはより多くの貨物会社を鉄道に誘致する(注1)。貨物輸送ではサプライチェーンに適応する柔軟な運行、旅客サービスでは安定した時刻表と切符の早期予約などの実現を目指す。越境列車の円滑な運行に向け、EUレベルで調整し、貨物輸送量の割り当てを可能とする施策なども盛り込まれた。

大型車の重量・寸法指令の改正は、ゼロエミッション技術を使用する車両は重量が増加する傾向にあるため、重量制限を緩和する。将来的に、バッテリーなどが軽量化し積載スペースが増える可能性を見越す。また、インターモーダル輸送(注2)を推進するため、通常のコンテナより高さがある「ハイキューブコンテナ」を積載するための高さ制限を緩和する。越境輸送の円滑化については、分割不可能な貨物の輸送など、車体の長さ・重量が制限を超える車両の制限外積載許可の申請プロセスを簡素化。事業者は運行ルートなど必要なブラック ジャック コツを提出した加盟国で、走行予定の全ての国について許可を得られるようにする。法令の執行面では、例えば加盟国が行う監査についてEUレベルの最低要件の設定や、走行車両重量計測(WIM)の利用容認を通じ、加盟国の規則運用を支援する。

運輸サービスのGHG排出量の算出については、規則案で企業向けの算出手法「カウントエミッションズEU(CountEmissionsEU)」を定め、企業のブラック ジャック コツ公開などに役立てる。カウントエミッションズEUは、2023年3月に発表された物流におけるGHG排出量算出基準の国際規格「ISO14083:2023」に基づき、策定された。同規格は、燃料・エネルギー生産から車両の走行まで運送業務全体でのGHG排出量を考慮する「油井から車輪まで(Well-to-Wheel)」の概念に基づき、算出基準や方法を定めるもの。欧州委は、荷物の受け付けから配送までGHG排出量について信頼できるデータが示され、消費者がブラック ジャック コツに基づいた運送・配送手段の選択が可能になるとした。

これらの法案は今後、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議される。

(注1)EUの鉄道政策については欧州グリーン・ディールとEUの実写 版 ブラックも参照。

(注2)複数の最適な輸送手段を組み合わせ、貨物の引き受けから引き渡しまで一貫して運送を行うこと。

(滝澤祥子)

(EU)

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