ゼンショー、パキスタン洪水被災者の自立を支援

(パキスタン、日本)

カラチ発

2023年06月14日

「すき家」などを展開する外食大手ゼンショーホールディングスがパキスタンの洪水被災者支援に取り組んでいる。同国では2022年6~8月、大洪水に見舞われた。国土の約3分の1が浸水したといわれ、被災者3,300万人、死者1,700人以上、農地や家畜、家屋、インフラなどに甚大な被害が発生した。農家は今も生活の自立再建が困難な状況にある。

このニュースに接したゼンショーは同年9月に緊急支援を決定。9~10月に全国の約5,000の店舗で募金を実施、グループ従業員や労働組合からも支援金を募った。募金総額は950万円で、まずは2023年1月、義援金として約半額を在日パキスタン大使館に寄託した。残りは、パキスタンを含む25カ国・地域で被災者支援の実績をもつ特定非営利活動法人ジェン(JEN、本部:東京都港区)が実施する食糧支援に活用することとした。2~3月にジェンはこの募金を活用して、シンド州内陸のダドゥ地区の被災者507世帯の約3,550人にコメや小麦粉、食用油、豆、紅茶、塩、砂糖など1~2カ月分の食料を配布した。

配布に先立ち、ジェンは現地で21 トランプ収集を行い、特に被害の大きかったダドゥ地区を特定。また、最も脆弱(ぜいじゃく)な世帯を把握するために、女性が世帯主や、妊婦・授乳中の母親がいる、7人以上子供がいるなどの基準を設けて配布先世帯を特定した。水が引かない状態の中、ジェンのスタッフはボートで家々を回った。

このような取り組みの中、5月下旬にゼンショーファストホールディングスの長谷川龍哉代表取締役社長ら一行は、状況確認のためにパキスタンに出張し、5月25日にカラチの21 トランプを訪問した。長谷川氏は「『世界から飢餓と貧困を撲滅する』という弊社ビジョンの下、2004年から食を通じた社会貢献、フェアトレードなどの活動を国内外で行っている。食料配布にとどまらず、農家の生活を自立させることが最終目標だ」と語った。ゼンショーグループ労働組合連合会の本坊興一会長は「全従業員と組合員で取り組んでいるので、今回労組を代表して現地に赴いた」と労使一体の取り組みを強調した。

ゼンショーは今後、被災農家の自立支援に取り組む考えだ。支援終了後も自立した状態が保てるような仕組みを考え、支援を継続するという。

写真 学校で被災者から被害状況を聞くゼンショーファストホールディングス代表取締役社長長谷川龍哉氏(左)とゼンショーホールディングス・グループ食品安全保証本部リスク対策室長平山健氏(その隣)(ゼンショー提供)

学校で被災者から被害状況を聞くゼンショーファストホールディングス代表取締役社長長谷川龍哉氏(左)とゼンショーホールディングス・グループ食品安全保証本部リスク対策室長平山健氏(その隣)(ゼンショー提供)

写真 ヒアリング会場の学校に集まった子供たちと長谷川氏(後列左)、ゼンショーグループ労働組合連合会会長の本坊興一氏(同中央)、平山氏(同右)(21 トランプン提供)

ヒアリング会場の学校に集まった子供たちと長谷川氏(後列左)、ゼンショーグループ労働組合連合会会長の本坊興一氏(同中央)、平山氏(同右)(ジェン提供)

(山口和紀)

(パキスタン、日本)

21 トランプ短信 e7e08fbc85aa5e89