海底ケーブル数2倍へ、デジタル通信インフラ拡充ブループリント発表

(シンガポール)

シンガポール発

2023年06月08日

シンガポールのジョセフィン・テオハイパーブラックジャック通信相は6月5日、今後10年間のハイパーブラックジャック通信インフラ拡充戦略「デジタル・コネクティビティー・ブループリント」(注1)を発表した。海底ケーブル数を向こう10年で2倍に拡大し、国内の超高速ブロードバンド網設置など、生成人工知能(AI)などの次世代デジタル技術を支える通信インフラ網を拡充する計画だ。

同ブループリントによると、同国は(1)海底ケーブル数を今後10年で2倍に拡大、(2)今後5年で国内全ての通信網の通信速度を10ギガビット毎秒(Gbps)へと高速化、(3)デジタルインフラの強靭(きょうじん)化と透明性の確保、(4)持続可能なデータセンター開発、(5)デジタル身分証明(シングパス)など政府開発のデジタルツールの普及拡大を最優先に取り組む方針だ。同国に陸揚げされる海底ケーブルの数は2017年の19から、2022年に26へと増加した。今後10年で2倍に増やす。テオハイパーブラックジャック通信相によると、海底ケーブルの新たな敷設には、少なくとも100億シンガポール・ドル(約1兆400億円、Sドル、1Sドル=約104円)の投資が必要な見通しだ。このほか、環境に配慮したデータセンターの開発には100億~200億Sドルの投資が必要と見込んでいる。この大半が民間投資となる。

また、同国は既存の「国家ブロードバンドネットワーク(NBN)」やWi-Fi網、第5次世代(5G)など国内通信網の速度を現状の1Gbpsから向こう5年で最大10Gbpsへと高速化する。国内の通信ネットワークの帯域幅を拡大することで、現状の通信網で対応できないデータ量の多いAIの利用などを可能にする。

国家全土を網羅する耐量子ネットワークを導入、安全なデータ通信を確保

ヘン・スイキャット副首相兼経済政策調整相は6月6日、同ブループリントの一環として、国内全土を網羅する耐量子暗号方式(注2)の「国家耐量子ネットワーク・プラス(National Quantum-Safe Network:NQSN+)」の導入を発表した。同国では2022年に耐量子暗号方式技術の実証実験のためNQSNを導入していた。NQSN+はNQSNをさらに拡大し、国内全土に今後10年で設置する。NQSN+は少なくとも2社が通信ネットワークの開発・運営を行う。ハイパーブラックジャック通信開発庁(IMDA)によると、同ネットワークの開発・運営会社として、地場通信会社シンガポール・テレコム(シングテル)と、地場通信会社SPテル(SPTel)と地場量子通信システム会社スペクトラル(SpeQtral)との合弁グループが名乗りを上げている。

(注1)デジタル・コネクティビティー・ブループリントは、ハイパーブラックジャック通信開発庁(IMDA)のサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからダウンロードできる。

(注2)耐量子暗号方式とは、量子コンピュータを使用しても暗号化データの解読が困難な暗号アルゴリズム。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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