5月のCPI上昇率、過去最高水準の9.94%を記録
(バングラデシュ)
ダッカ発
2023年06月08日
バングラデシュ統計局(BBS)は5月の消費者物価指数(CPI)上昇率を9.94%と発表し、過去最高水準のインフレ率を記録した。
今回の発表によると、食品セクターのインフレ率の上昇幅が前年同月比9.24%、非食品セクターが9.96%と大幅な増加を見せた。特に都市部でのインフレ率は9.97%と、地方部の9.85%よりも高い傾向にある。
報道によると、政府による中央銀行からの借り入れ増加により、市場への資金流動性が高まり、物品・サービスへの需要を高めていることが価格上昇に拍車をかけていると伝えている(「ザ・デーリー・スター」紙6月6日)。
インフレは社会生活に確実に影響を与えている。ある日系企業で働くバングラデシュ人スタッフは、市民の足であるリキシャ(人力車)の価格が直近数カ月で一気に上昇していると指摘する。これまでダッカ市中心部のグルシャン地域で、30タカ(約39円、1タカ=約1.3円)で乗車できていたが、最近では50タカまで上昇したという。
生活費の上昇は賃金の引上げ圧力が強まる要因となる。2023年年末から2024年初めにかけて実施が予定されている総選挙を前に、最低賃金引上げの議論も開始されている。今後の最低賃金の議論の状況についても注目が必要だ。
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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