欧州フォード、ケルンの電動車専用工場をオープン
(ドイツ、欧州、米国)
ミュンヘン発
2023年06月29日
ドイツ西部のノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州ケルンに本社を有する、欧州フォードは6月12日、「フォード・ケルン・電動車センター」をオープンした。1930年に設立のケルン工場が改修され、電気自動車(EV)専用工場となった
開所式典には、米国フォードのウィリアム・クレイ・フォード・ジュニア代表取締役会長のほか、オラフ・ショルツ連邦首相、ヘンドリック・ブストNRW州首相、ヘンリエッテ・レーカー・ケルン市長らが臨席した。ショルツ首相はあいさつの中で、創業者のヘンリー・フォードと第2次世界大戦後に建国された旧西ドイツの初代首相(当時はケルン市長)のコンラート・アデナウアーが、まだ馬車が主な交通手段だった1930年にフォード・ケルン工場の開所を行ったことに触れ、同工場が長い歴史を持つことを振り返った上で、これからは気候中立達成のためのクリーンなモビリティの普及が必要であり、クリーンなモビリティのための新たな技術開発に向けて電動車センターが開所されたとした。
今回の投資総額は、2022年3月発表のとおり(2022年3月18日記事参照)、20億ドル。電動車センターの生産規模は年産25万台の予定で、蓄電池の組み立ても行う。また、フォード初のカーボンニュートラル(炭素中立)な工場となる。当面、スポーツ用多目的車(SUV)の「エクスプローラー」のEVを生産し、その後にクロスオーバーSUVのEVも生産する予定だ。
フォードはドイツ国内で、ケルンに欧州統括拠点と工場、研究開発拠点、オランダとベルギーに隣接する同じくNRW州アーヘンに研究開発拠点、フランスとの国境に位置するザールラント州ザールルイに工場を有する。
ドイツ自動車産業連合会(VDA)によると、2021年のフォードのドイツ国内の乗用車生産台数は13万8,901台で、国内乗用車生産台数(309万6,105台)の4.5%を占めた。2020年の31万6,645台から大きく減らしている。また、ドイツ連邦自動車局(KBA)によると、2022年の国内新車登録台数におけるフォード製乗用車は13万1,256台で、全体(265万1,357台)の5.0%を占めた。うち、バッテリー式電気自動車(BEV)は5,790台で、BEV全体(47万559台)の1.2%を占めた。
なお、欧州フォードは2023年2月、電動化を受けて2025年までに3,800人を人員整理すると発表している(2023年2月24日記事参照)。
(高塚一)
(ドイツ、欧州、米国)
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