半導体産業のさらなる成長に期待、セミコン東南アジア2023

(マレーシア、日本)

クアラルンプール発

2023年06月01日

マレーシアのペナン州で5月23日から25日にかけ、東南アジア最大規模の半導体産業展示会「セミコン東南アジア2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催された。同展示会は1994年にシンガポールで開始、2014年に開催地をマレーシアへ移し、今回で28回目。テーマは「東南アジア地域電気電子サプライチェーンの機敏性と回復力向上」で、持続可能性、スマート製造、スマートモビリティ、スマート医療技術といった成長分野に焦点を当てた〔投資開発庁(MIDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますプレスリリース〕。国内外企業289社が573ブースを構え、日系企業も30社超が出展した。

展示会は盛況、新たな顧客とのコネクション作りに期待

出展企業からは、マレーシア半導体産業の継続的成長やアジアのハブとなり得ることへの期待が聞かれた。4年ぶり2回目の出展をした清和光学製作所(東京都中野区)の倉林信篤SE部長は「展示会は前回と比べても盛況で、マレーシアの半導体業界は今後も伸びると確信する」と語った。同社は2022年に駐在員事務所をクアラルンプールに設置し、今後、現地装置メーカー向けの光学機器販売拡大を目指す。事務所設置の背景として、飯田友哉SE2グループ課長は「マレーシア市場の将来性と米中貿易摩擦の激化」を挙げ、特に米中関係の緊張が高まる中、マレーシアがアジアのハブになり得るとの見通しを語った。今回の展示会でも、他地域のセミコンと異なり、インドや中東からのブース来訪者が目立ったという。

マレーシアの将来性に期待し、事業を強化する動きもある。三菱電機の現地法人・三菱エレクトリック・セールス・マレーシアは、シンガポールで従来管轄していたファクトリーオートメーション(FA)事業を2020年にプロフィットセンター化。半導体業界のFAで展開を拡大すべく、今回初めて出展した。展示の目玉は、半導体装置に特化したサーボシステムコントローラ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。小野田宏幸マネジングディレクターは「マレーシア政府自身が半導体産業を戦略的分野と位置付けていることは心強い」「産業界の電気代が高いため、省エネ意識が強まりつつある。生産性向上や製造工程可視化ニーズの高まりにもつながり、当社の競争力を発揮できる」と期待を示した。両社とも、半導体市況は2024年には回復に向かうと見込み、プレゼンスを高めていきたい考えだ。

さらなる企業誘致に向けてエコシステム強化へ

23日の開会式でアフマド・ザヒド・ハミディ副首相は、マレーシアの半導体組み立て・試験・パッケージングでの市場シェアを現在の13%から2030年までに15%に高めるべく、国内半導体エコシステムを強化、特に若い世代の技術教育に注力したいと述べた。ペナン州のチョー・コンヨー州首相は、ビジネス環境の整備を進めたことで、同州が大手企業の誘致に成功したと強調。MIDAのリム・ビー・ヴィアン副CEOも、マレーシアが2022年に誘致した電気電子産業の投資のうち、95.2%は外国直接投資だったとし、同国がグローバルサプライチェーンの一部として着実に存在感を高めていると強調した。

ペナン州の投資動向や見通しを尋ねたジェトロに対し、MIDAペナンの担当者は「直近で同州への投資が大きい国はオランダ、米国、中国、日本」「インテルによる事業拡大の影響でバヤンレパスが手狭になったことから、バトゥカワンの開発を進めている」「工業団地は整備され、人材も豊富。さらなる投資を受け入れる準備がある」と語った。

写真 (左)「セミコン東南アジア2023」会場の入り口、(右)多くの人でにぎわう展示会場(ブラック ジャック コツ撮影)

(左)「セミコン東南アジア2023」会場の入り口、(右)多くの人でにぎわう展示会場(ジェトロ撮影)

(吾郷伊都子)

(マレーシア、日本)

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