住友商事、北米の硫酸事業拡大に向け米サコニックスを買収

(米国、日本、チリ)

ヒューストン発

2023年06月09日

住友商事は6月8日、米国子会社を通じて、米国西部およびメキシコ湾岸地域で硫酸の調達・販売・貯蔵・物流サービスなどを手掛ける米国サコニックス(本社:ジョージア州ローズウェル)を買収し、完全子会社化したと発表した。

発表によると、硫酸は世界で最も多く流通している基礎化学品で、用途は農業、工業、鉱業、繊維業など極めて幅広い分野に及ぶことから、人々の暮らしに必要不可欠な化学品とされている。また、世界の脱炭素化を支える銅・リチウム・レアアースなどの鉱山現場や、世界人口の増大に伴う食料需要増により農業・肥料分野での使用量が増えることから、基礎化学品としての硫酸の重要性はますます増大しているという。

住友商事グループは、米国、チリなどで硫酸の海上輸送取引、陸上小口販売、貯蔵など物流サービス事業を幅広く展開している。住友商事が自社グループで硫酸の貯蔵タンクを保有・運営しており、需要家が必要な時に必要な量を確実に供給する、また貯蔵タンクの一部を物流サービスとして貸し出すことで貯蔵が困難な硫酸を需要家から預かるなど、単なる輸送取引にとどまらない付加価値を提供しているという。

住友商事グループは、今回のサコニックスの完全子会社化により、新たに米国西部およびメキシコ湾岸地域で物流拠点を獲得し、全世界の硫酸貯蔵能力は、タンク19基、約33万トン、全世界の海上輸送取引の約20%に相当する年間約350万トンの硫酸を取り扱い、硫酸業界におけるリーディングポジションを確保する狙いがある。

住友商事は米国で脱炭素化の取り組みを進めており、3月に米国で船舶向けアンモニア燃料供給の検討開始(2023年4月6日記事参照)、4月にはディーゼルエンジンの燃費改善・二酸化炭素(CO2)排出量削減に向け米国スタートアップの水素技術活用(2023年4月17日記事参照)、5月にCO2の直接大気分離回収(DAC)技術を保有する米国のグローバル・サーモスタットに出資し、同社技術を活用したCO2回収・利用・貯留(CCUS)分野での共同事業開発に関する基本合意書締結(2023年5月31日記事参照)をそれぞれ発表している。

(沖本憲司)

(米国、日本、チリ)

ビジネス短信 b4bda2d6295d4d13