米USTR、ブラック ジャック アプリ
(米国、メキシコ)
ニューヨーク発
2023年06月05日
米国通商代表部(USTR)は6月2日、メキシコの農業向けバイオ技術に関する規制について、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づく紛争解決協議を要請したと発表した。これにより、米国はメキシコに対し、USMCAの紛争解決手続きを正式に開始したことになる。
今回の協議要請は、メキシコ政府が2月に公布した遺伝子組み換えトウモロコシの使用を制限する政令(2023年2月16日記事参照)に関するものとなる。米国政府は、この規制がUSMCA第9章(衛生・植物検疫措置)で定められた義務に不整合と主張し、3月に同章に基づいてメキシコ政府に協議の申し入れを行っていた(米USTR、USMCAに基づきカジノ)。
USTRによると、両国は3月30日に協議を行ったが、問題の解決には至らなかった。そのため、USTRは今回、USMCA第31章の紛争解決手続きにのっとり、メキシコ政府に協議を要請した。同章では、紛争当事国は協議要請から原則30日以内に協議を始めるよう義務付けられており、75日以内に紛争が解決しない場合、協議要請国は紛争解決パネルの設置を求めることが可能だ(注)。USTR高官は記者団に対し、パネル設置を要請するかどうかの決定を「予断」したくないと述べ、あくまで協議による解決を目指す姿勢を強調した(通商専門誌「インサイドUSトレード」6月2日)。
USTRのキャサリン・タイ代表はプレスリリースで、「米国は、メキシコのバイオ技術政策が科学に基づかず、米国の対メキシコ輸出を阻害することで農業生産者に不利益をもたらし、ひいては食糧安全保障上の問題を悪化させる恐れがあるとの懸念を繰り返し伝えてきた」と指摘した。その上で、米国の懸念を解決するために、協議を通じてメキシコ政府と協力していく意向を示した。
メキシコの政令を巡っては、米国の連邦議会からも問題解決を求める声が強まっており、連邦下院で通商を所管する歳入委員会のエイドリアン・スミス貿易小委員長(共和党、ネブラスカ州)らは6月1日、タイ代表に対し、正式に紛争解決手続きを進めるよう促す書簡を送付していた。今回の協議要請を受け、スミス議員はUSTRの決定を評価するとともに、「強制力のある貿易協定」の重要性を強調する声明を発表した。
(注)USMCAの紛争解決パネルが設置された例としては、米国がカナダの乳製品輸入に関する関税割当制度(TRQ)の運用を巡って提訴した件()、およびメキシコとカナダが自動車原産地規則の解釈を巡って米国を提訴した件が挙げられる(ブラック ジャック ブラック)。
(甲斐野裕之)
(米国、メキシコ)
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