サウジアラビア、エルドアン大統領の再選を祝福
(サウジアラビア、トルコ)
リヤド発
2023年06月01日
5月28日に実施されたトルコ大統領選挙で再選した現職のレジェップ・タイップ・エルドアン大統領に、サルマン・ビン・アブドゥルアジーズ国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相はそれぞれ祝辞を伝えた。サルマン国王は、兄弟国である両国と国民が結ぶ友愛関係を称賛し、あらゆる分野で強化、発展させることに意欲を示した。
エルドアン大統領の再選について、サウジアラビアの主要メディアも肯定的に報じている。主要現地紙の1つ「アシャルク・アルアウサット」紙(5月30日)は、「欧州諸国が求める民主的な選挙を実践し、エルドアン大統領が52%の得票率で勝利したことによって、欧州諸国との『民主主義のゲーム』に勝利した」と賞賛した。また、ジェトロの取材に対し、在リヤドの米国系シンクタンクの有識者は「サウジアラビア政府はいずれかの候補の勝利を期待していたわけではない。しかし、現職の勝利は従来の関係が続き、新たな驚きが生じない意味では、よりポジティブだ」との見方を示した。
両国は、2018年10月にトルコでサウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ氏が殺害される事件が発覚して以降、外交関係が冷え込んでいたが、2022年の2度の首脳会談を経て、経済分野を中心に協力関係を強化することで合意していた(2022年6月24日記事参照)。イスラム教の価値観を重視する現職エルドアン大統領の続投によって、両国の経済分野のさらなる交流拡大が予想される。上述した有識者は「トルコとの関係は従来、不安定に上下動を続けていたが、エルドアン大統領はそのリスクをよく学んでいる」とし、今後の両国間の関係が悪化するリスクは以前より小さい、との見方を示した。
(秋山士郎)
(サウジアラビア、トルコ)
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