メルセデス・ベンツ、2025年からグリーン鉄鋼調達を強化
(ドイツ、スウェーデン)
ミュンヘン発
2023年06月19日
ドイツ自動車大手のメルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは6月7日、スウェーデンのスタートアップのH2グリーンスチール(H2GS)から、グリーン鉄鋼(注)を2025年以降、年間約5万トン調達すると発表した。同社はH2GSから調達するグリーン鉄鋼を欧州の車体プレス工場で使用する予定。また、H2GSとの連携を強化し、北米で持続可能な鉄鋼のサプライチェーンを構築するための覚書(MOU)を締結したことも明らかにした。
メルセデス・ベンツは2019年5月発表の計画「アンビション2039(Ambition2039)」で、2039年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラル(炭素中立)を達成する目標を掲げている。同社によると、セダンの場合には車体の材料の約50%は鉄鋼で、生産での二酸化炭素(CO2)排出量の約30%は鉄の還元工程に起因している。同社は既にグリーン鉄鋼を4種の量産モデルに導入しており、鉄鋼が排出源となっているCO2排出量を60%以上削減しているとした。
H2GSは2020年創業のスタートアップ。鉄の還元工程でコークスの代わりに水素を使うことで、排出するCO2の量を従来の製鉄方法と比較して最大95%削減する。水素や電力は100%再生可能エネルギー由来のものを使い、鉄1トン当たりのCO2排出量を通常の2トン以上から0.4トンに減らすことを供給開始時点での目標としている。同社はグリーン鉄鋼の生産を2025年にスウェーデン北部のボーデンに建設予定の工場で開始し、2030年までに生産量を年間500万トンに拡大する。ボーデン工場の2026年時点の従業員数は約1,500人になる予定。
また、メルセデス・ベンツは2023年5月、早ければ2023年夏から低炭素アルミニウムを用いた鋳造部品を量産モデルに使用予定だと発表した。低炭素アルミニウムはノルウェーのアルミニウム大手ノルスク・ハイドロから調達する(2023年5月23日記事参照)。
(注)製造過程で二酸化炭素(CO2)をほとんど排出しない鉄鋼。
(クラウディア・フェンデル、宮林和夢)
(ドイツ、スウェーデン)
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