英当局、北アイルランドへの医薬品供給に関する新たな措置発表
(英国、EU)
ロンドン発
2023年06月13日
英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は6月9日、北アイルランドに医薬品を上市する際の新たな措置の概要について発表した。これは、EU離脱協定の一部の北アイルランド議定書にかかる問題の解決に向けて、2023年2月に公表した「ウィンザー・フレームワーク」の中で概要が示されていたもの(欧州委、北ブラック ジャック)。
具体的には、次の措置を2025年1月から導入する。
- 英国市場向けの新薬については、英国の当局が承認を行う。パッケージには明確に「UK only」のラベルを表示し、北アイルランドを含む英国市場でのみ上市を認める。アイルランドを含むEU市場での販売は認められない。
- 北アイルランドに上市される医薬品については、EUの偽造医薬品指令(EU FMD指令)の下で求められる機能は表示してはならない。これには同指令に準拠した二次元バーコードやシリアル番号も含まれる。
- 改ざん防止デバイスについては、全てのパッケージに引き続き求められる予定。
これまでは、グレートブリテン市場向けの医薬品については、英国の規制に準拠したパッケージの利用が2024年以降求められることになっていたが、今回の新たな措置の導入に合わせて、これを2025年以降へと延期する。また、英国市場に流通済みの既存のパッケージが用いられている医薬品については、使用期限が経過するまでは流通が認められる予定。
北アイルランド向け医薬品に対する要件についての包括的なガイダンスは今後発表される予定としている。
さらに、英国政府は2024年末まで、現在EUの中央審査方式の対象となっている革新的医薬品(注)について、欧州医薬品庁(EMA)の承認前でも、MHRAの承認に基づいて最大6カ月間、北アイルランドへの供給を認める猶予措置を導入するとしている(英国政府ガイダンス参照)。
(注)これまで承認されていない医薬品成分(Active substance)、または、医薬品成分が組み合わされたものを含む医薬品。
(山田恭之)
(英国、EU)
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