ビテスコ・テクノロジーズとローム、SiCパワーデバイスの長期供給に合意

(ドイツ、日本)

ミュンヘン発

2023年06月22日

ドイツの自動車部品製造のビテスコ・テクノロジーズ(Vitesco Technologies)と日本の半導体製造のロームは619日、シリコンカーバイド(SiCパワーデバイス(注)の長期供給パートナーシップ契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ビテスコ・テクノロジーズはドイツ自動車部品製造大手コンチネンタルのパワートレイン部門が2019年に分社化した組織で、最新のドライブ技術や電動化ソリューションを提供している。

ビテスコ・テクノロジーズとロームは2020年に「電気自動車(EV)向けパワーエレクトロニクスの開発パートナーシップ」を締結し、EVに最適なSiCパワーデバイスとSiC搭載インバーターの共同開発を行ってきた。今回の長期供給パートナーシップ契約はこれらの協力を踏まえたもので、両者のさらなる連携の強化が見込まれる。

今回の長期契約パートナーシップ契約に基づいて、両社は2024年から2030年にかけて、1,300億円以上の取引を予定している。ビテスコ・テクノロジーズは2024年からロームのSiCを搭載したインバーターを供給開始する予定。既に大手自動車メーカー2社のEVへの採用が決まっている。

SiC半導体は近年、EVやエネルギー貯蔵、再生可能エネルギー向けなどで需要が急速に拡大しており、各社は需要拡大に対応するため、長期供給契約締結や工場新設など非常に活発な動きを見せている。例えばドイツでは、ZFフリードリヒスハーフェンが20234月、スイス半導体大手STマイクロエレクトロニクスとSiC半導体の複数年供給契約を締結した(2023年4月21日記事参照)。また、米国の半導体大手ウルフスピードはドイツでの工場と研究開発拠点の新設を発表している(2023年2月7日記事5月9日記事参照)。

(注)シリコン(Si)と炭素(C)で構成される化合物半導体。従来のシリコン半導体よりも高いエネルギー効率で、小型化、軽量化、コストダウンを可能にする。

(宮林和夢)

(ドイツ、日本)

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