呼吸器感染症の流行を受け、学校内でのマスク着用を義務付け
(チリ)
サンティアゴ発
2023年06月16日
チリ保健省は6月13日、呼吸器系感染症の流行を受けて、学校でのマスク着用を5歳以上の児童に義務付けると発表した。適用開始は6月15日からで、期限は衛生警告(Alerta Sanitaria)の発令期限でもある8月31日まで。
同省によると、5月からRSウイルス、アデノウイルス、インフルエンザなどの呼吸器感染症の罹患(りかん)者が急増している。特に1歳未満の乳児がRSウイルスに感染し、重症化または死亡する例が報告されており、小児用の病床が逼迫している。6月4~10日の1週間で検出されたウイルスは、全体の61%がRSウイルスで、インフルエンザA型(13%)、アデノウイルス(12%)、ヒトメタニューモウイルス(7.2%)と続く。
14日の保健省の発表によると、チリ全土の集中治療室(ICU)と高度治療室(HCU)を合わせた小児用病床の占有率は92%(1,270床中1,169床)で、州別にみると、タラパカ州とニュブレ州は既に100%に達し、バルパライソ、首都圏、アラウカニアの3州は97%以上が既に埋まっている状況だ。人口が集中する首都圏州に関しては、国全体の52.8%の小児用の病床が設置されているものの、利用可能な病床数は14日時点で16床のみとなっている。
同省は今後、ウイルスのまん延状況によっては、マスク着用義務の範囲拡大や、在宅勤務の導入など、労働者の保護に必要な措置を検討するとしており、国民に新型コロナウイルスやインフルエンザのワクチン接種の推奨、手洗いやうがいの励行、換気の徹底など感染予防対策を行うよう呼びかけている。
(岡戸美澪)
(チリ)
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