ドイツ自動車産業連合会、エネルギー価格高騰による影響など調査
(ドイツ)
ミュンヘン発
2023年06月02日
ドイツ自動車産業連合会(VDA)は5月24日、同日にボンでVDAが開催した「第23回ミッテルシュタントの日」イベント(注)に合わせて、エネルギー価格高騰の自動車部品メーカーへの影響などに関するアンケート調査結果を公表した。本調査は2023年5月15~23日に、VDA会員企業のうち、完成車やエンジンメーカーを除く自動車部品関連企業を中心に実施し、128社が回答した。
調査結果によると、エネルギー価格の高騰による影響は、前回調査(2023年2月)に比べて低下したものの、継続している。電力価格の高騰は、回答企業の74%が「非常に強い影響を受けた」または「強い影響を受けた」と回答した(前回82%)。ガス価格の高騰については、59%が「非常に強い影響を受けた」または「強い影響を受けた」と回答した(前回73.3%)。このほか、回答企業の85%が専門人材の不足や人手不足(前回77.6%)、72%が行政手続きの煩雑さ(前回62%)による影響を受けたと回答した。
ドイツ国内への投資については、回答企業の5%が投資を中止するとした(2023年2月調査時は14%、2022年9月調査時は9%)。国内の投資拡大を計画する企業は1社もなかった(2022年9月調査時は2%)。反対に、国外投資に変更するとした回答企業は27%だった(2023年2月調査時は28%、2022年9月調査時は22%)。そのうち、43%が他のEU加盟国、30%が北米での投資拡大を計画していると回答した。
自社の強靭(きょうじん)性を向上させる戦略について聞いたところ(複数回答可)、69%がエネルギー削減への取り組み強化、52%が生産工程の適応と回答、在庫品を増やすと回答した企業は41%となった。また、36%がサプライチェーンの適応、35%が物流の見直しと回答した。
VDA副会長で、VDAミッテルシュタント会長でもあるアーント・ギュンター・キルヒホフ氏は「自動車産業における利益の6分の1(17%)は『ミッテルシュタント』が稼ぎ出したもの」とし、自動車産業における中小企業の重要性を訴えた。また、中小企業支援のため、特にエネルギーコストの削減策の導入を政界に求めた。
(注)ドイツ語の「ミッテルシュタント(Mittelstand)」は、一般的には「中小企業」と和訳されるが、ドイツ語圏における企業特色を示す言葉でもある。ミッテルシュタントの詳細はジェトロ調査レポート「ドイツにおける中小企業政策とケーススタディ」(2021年3月)参照。
(クラウディア・フェンデル)
(ドイツ)
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