日清紡ホールディングス、EBS部品生産を行う合弁工場の開所式開催
(インド、日本)
ニューデリー発
2023年06月16日
日清紡コンプリヘンシブ・プレシジョン・マシニング(グルガオン)(以下、NCMG)は6月2日、インド北部ハリヤナ州のマネサールで新工場の開所式を行った。NCMGは、日清紡ホールディングス(出資比率60%)と、ドイツ系総合自動車部品メーカーのコンチネンタルのオランダ法人(同40%)が設立した合弁企業。新工場では、四輪車・二輪車向け精密部品であるEBS(電子制御ブレーキシステム)用バルブブロックを生産する。
EBSとは、ブレーキを踏んだ際、前後輪の回転数や旋回状態から、制動力を車輪に対して最適に制御配分する装置のことだ。最も基本的な車輪ロック防止装置(ABS)は、ブレーキ時に車輪がロックされるのを防ぎ、ハンドル操作を可能にするシステムのことで、インドでは2022年4月以降、乗車人数9人以上の全車両に対して装備が義務化されている。他方、より安全性を高めるEBSとしては、横滑り防止装置(ESC)がある。ESCは、走行時の車の横滑りをセンサーで検知し、各車輪のブレーキ力、エンジン出力を制御することで車両の安定性を維持するシステムで、NCMGは、基本的なABSからより高性能なESC向けまで幅広く生産する予定だ。
NCMGの高木満郎社長によると、2019年からの乗用車・二輪車へのABS装着法制化など、インド国内では車の安全性を重視しようとする動きが見られるようになっており、また、インド政府が普及を促進する電気車両(EV)においても、ブレーキ関連部品の必要性はほぼ変わることがない。このため、今後もインド国内の自動車・自動二輪市場の伸びに伴い、引き続きEBSの需要拡大が期待できるという(ヒアリング:5月10日、6月2日)。
なお、日清紡グループによる精密機器事業のインド生産拠点設立は、今回で2カ所目だ。同グループは、2011年8月に日清紡メカトロニクス・インディアを設立し、マネサールで樹脂成形品を生産している。一方、2022年9月に登記を完了したNCMGは、2023年10月をめどに今回の工場を本格的に稼働させる計画だ。
(広木拓)
(インド、日本)
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