相次ぐ停電で、事業操業にも影響続く
(バングラデシュ)
ダッカ発
2023年06月05日
バングラデシュでは5月以降、停電が頻発している。背景としては、外貨節約のため、発電用の天然ガスや石炭、ディーゼル燃料の輸入を抑制しており、発電所の稼働を中止していることが原因だ。バングラデシュ電源開発公社によると国内全体で、2万4,143メガワット(MW)の発電容量があるものの、実際の供給量(6月2日時点)は日中で1万2,349MW、夜間で1万4,334MW、と大幅に低い水準にある。一方、4月以降、猛暑が続いていることから、最大で1万6,000MWの需要があると報道されている(「プロトム・アロ」紙5月31日)。
この結果、ダッカ市内においても、日中に複数回停電が発生する事態が発生している。発電機を設置している場合、停電後もバックアップ電源が稼働し電力が供給されるが、発電機がない場合は、電力の復旧を待つ必要がある。輸出加工区(EPZ)においても状況は変わらず、1日に複数回停電が発生ており、生産に影響を与えている。6月3日に、チョットグラム経済特区(EPZ)で操業する日系企業にインタビューしたところ、1日2~3回停電が発生し、1回の停電が30分から長ければ1時間ほど続くとのことだった。発電機の利用が増えれば、動力源のディーゼル燃料や天然ガスの使用量も増え、生産コストの上昇に拍車をかけるかたちとなる。
報道によると、6月も電力供給は厳しい状況になるとされており、しばらくは停電が発生する前提での事業操業を行う必要がある(「デイリー・スター」紙5月31日)。
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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