旭化成、イスラエルのキャスター・テクノロジーズへの出資発表
(イスラエル、日本)
テルアビブ発
2023年05月22日
旭化成(本社:東京都千代田区)は5月16日、産業用3Dプリンティングソフトウエアを開発するイスラエルのスタートアップ企業キャスター・テクノロジーズへの出資を発表した。旭化成は今回の出資によって、同社の樹脂CAE(Computer Aided Engineering)技術サービスとキャスター・テクノロジーズのソフトウエアが生み出すシナジー効果を今後追求するとしている。
3Dプリンティングは材料を積層しながら造形する新しい加工法で、複雑な形状の部品作成に適している。3Dプリントサービスを提供しているハブズ(Hubs)などが発表した「3Dプリンティング・トレンド・レポート2023」によると、2023年の3Dプリンティングの市場規模は199億ドルで、前年比17%増を見込んでいる。
多くの場合、既存の製品に対して3Dプリンティングを適用する際は、人の判断で対象部品を選択し、3Dプリンティングの可否を決定し、場合によって形状修正を加えるなどの作業が行われる。他方、キャスター・テクノロジーズが独自に開発した高度なアルゴリズムを適用することで、例えば、1つの製品を構成する数千の部品から成る部品表とCAD図面から、3Dプリンティングに適した部品を自動的に特定する、あるいは、3Dプリンティングに適した形状への修正提案を受けることができるという。
旭化成は、エンジニアリングプラスチック製品を中心とした樹脂CAE技術サービスを提供しているが、キャスター・テクノロジーズが提供するサービス・ソフトウエアは旭化成が提供する樹脂CAE技術サービスの前工程に当たり、旭化成の技術とかけ合わせることで、より高度なシミュレーションを自動化できる可能性を秘めているという。
キャスター・テクノロジーズによると、旭化成に加え、ゼロックス、スプリング・ベンチャーズなどの既存投資家も今回出資しているという。同社の共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のオマー・ブレイアー氏は「旭化成をはじめとする投資家の支援をもらい、うれしく思っている。この投資により、私たちはより効率的で持続可能な生産プロセスの最適化を支援することを目的としたソフトウエアソリューションの開発・拡大に向けた努力を継続することができる」と述べた。
(中溝丘)
(イスラエル、日本)
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