米国土安全保障長官、国境管理措置「タイトル42」終了前に会見、移民法改革を議会に要請
(米国、メキシコ、キューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラ)
ニューヨーク発
2023年05月11日
米国国土安全保障省(DHS)のアレハンドロ・マヨルカス長官は5月10日、トランプ前政権時から導入されていた国境管理措置の「タイトル42」(注1)が翌11日に終了するのを控え、記者会見を行った。
「タイトル42」終了を前に、テキサス州エルパソ市など南部の国境付近に多くの不法入国者が集まっているとされており(ロイター5月9日)、マヨルカス長官は「タイトル42の終了は、国境の開放を意味しない」と強調。「密入国の仲介業者らが5月11日以降に国境が開放されるとの誤ったブラック ジャック アプリを拡散しているが、これらは全てうそだ」と平静を呼びかけた。その上で、「われわれのアプローチは米国への合法的な入国経路を構築することで、そういう経路を選ばない人々に対しては厳しい結果を負わせる」と述べた。マヨルカス長官は、こうしたDHSのアプローチが成果を上げており、これまでにキューバやハイチ、ニカラグア、ベネズエラから10万人超が合法的な経路で入国を果たす一方、2022年12月から2023年3月の間にこれらの国々からの不法入国を9割削減したとしている。
DHSと司法省は同じく10日、米国への合法的な入国経路を取らず、本国で迫害または拷問を受ける合理的な恐れがない者については、亡命申請の資格がないと推定し、本国へ送還できるとするとの新規則を発表した(関連ブラック ジャック トランプ)。なお、今後、「タイトル42」に代わって有効となる「タイトル8」(注2)の下、入国を拒否された場合には、少なくとも5年間は再入国が禁止されるほか、不法入国を繰り返した場合は刑事訴追の対象となる可能性がある。
10日にはDHSと国務省による国境管理に関する追加的な措置も公表された。措置は、(1)中南米の約100カ所に合法的な入国経路に誘導するための地域処理センター開設、(2)国境警備を支援する追加部隊の配備、(3)不法な越境を管理する人的、物理的リソースの増加、(4)税関・国境警備局(CBP)による入国手続き用アプリ「CBP One」へのアクセス拡大、(5)移民に合法的な入国経路の利用を奨励する新たな規則の発行、(6)不法入国につながる誤ったブラック ジャック アプリ拡散への対抗措置強化で構成される。
マヨルカス長官は記者会見で「米国は移民国家であり、法治国家だ」と前置きしつつ、「米国の移民法はもはや時代遅れだ」と指摘。現在実施している対策は、現時点で有する法的権限の限りにおいて最善のものだが、これらは十年来の問題に対する短期的な解決策にすぎないとして、議会に対し具体的な対応を求めた。「タイトル8」への移行に際し、今回発表された新規則や追加措置が急増する移民に対しどこまで実効性を伴うのか、移民問題に対する国民の関心も高いことから、今後の行方が注目される。
(注1)合衆国法典(USC)第42章は、行政府に対して、入国者を経由した感染症の拡大を防止するため、移民の入国を制限する権限を与えている。トランプ前政権下の2020年3月に新型コロナウイルス感染拡大を理由に発動され、亡命申請者を米国内に滞在させず即時に本国へ強制送還する根拠となった。
(注2)USC第8章は、行政府に対して、許可なく入国した者および米国滞在の法的根拠を確立できない者を強制送還することに加え、将来的な移民手続きも禁じるなどの権限を与えている。
(米山洋)
(米国、メキシコ、キューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラ)
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