カザフスタン、農業分野の協力関係強化で中国にアピール

(カザフスタン、中国)

タシケント発

2023年05月22日

カザフスタンのエルボル・カラシュケエフ農業相は5月10日から12日まで中国・北京を訪問し、農業分野における両国の協力関係強化をはかるため官民と会談を行った。

カラシュケエフ農業相は5月10日、新疆ウイグル自治区党委員会の馬興瑞書記と会談し、中国国内で需要が高まる有機農産物や、新型コロナ禍の規制で停滞したカザフスタン産食肉、鶏卵、魚などの輸出が再開されることで、農業分野における貿易額を3倍の10億ドル規模に拡大することが可能と述べ、検疫の緩和を要請。相互貿易の障壁除去などを検討する作業部会を設置することで合意した(カザフスタン農業省ウェブサイト5月10日)。馬興瑞書記は3月に、両国の地域間協力を議論する「越境協力会議」の代表団を率い、カザフスタンを訪問した。その際、中国側の協力の窓口は新疆ウイグル自治区政府になると述べている(大統領府公式ウェブサイト3月27日)

カラシュケエフ農業相は同10日、カザフスタンの農産複合体プロジェクト参入における投資家への優遇措置を説明し、投資を呼びかけた。12日の中国農業農村部・馬有祥副部長との会談では、農業問題に関する共同の小委員会の設置で合意。さらに、中国基準の検疫設備の提供を求めた(カザフスタン農業省ウェブサイト5月10日、5月12日)。

同相は国営、民間企業とも面談し、5月11日に国有穀物・食品企業の中糧集団(COFCO)、国有コングロマリットの中信集団(CITIC)、中国食肉協会の各代表者と会談し、カザフスタン国内における豊富な穀物、食肉の生産能力をアピールした。翌12日には食品、医薬品、農業機器大手企業20社代表が参加するビジネスフォーラムに出席し、カザフスタンへの投資を誘致した(カザフスタン農業省ウェブサイト5月11日、12日)。なお訪問中、中国灌漑設備大手の天津沃達爾工程技術(VODAR)と、建設費2,000万ドル規模のスプリンクラー生産工場をカザフスタン・ホルゴスにある特別経済区に建設することで合意した(カピタルKZ 5月12日)。

カザフスタン政府は、5月18~19日に陝西省西安市で開催された第1回中国・中央アジアサミットに向け、農業分野では対中国輸出産品の拡大、貿易障壁となっている検疫手続きの簡素化、国内農業発展のための中国からの技術移転と投資の呼び込みに力を入れていた。

(増島繁延)

(カザフスタン、中国)

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