2022年の農水産品の生産量は前年比減、自給率伸び悩む
(シンガポール)
シンガポール発
2023年05月25日
シンガポール食品庁(SFA)の最新統計(5月18日発表)によると、2022年の国内の農水産品の生産量は前年と比べて減少した。同国は国内で消費される9割以上の食品を輸入に依存している。2030年までに栄養ベースでの食料自給率を30%へ引き上げる目標「30×30」を設定している(2022年4月11日記事参照)。しかし、新型コロナ禍に伴う新規農園の設置の遅れや、養鶏場内での感染病などにより、2022年に国内生産量が低下し、自給率も伸び悩んだ。
国内の卵の生産量は2022年に6億910万個と、前年比5.4%減少した。野菜の生産量も同年に1万9,900トンと、15.3%減少。養殖を中心とする魚の生産量も同年に4,400トンと、13.7%減少した。SFAによると、卵の生産量低下は、2022年第1四半期(1~3月)に地元養鶏場でニューカッスル病が一時的に発生したことによるもの。同年第2四半期(4~6月)以降は回復している。地元農園や養殖場の生産量の低下の背景には、新型コロナ禍による新規農園の設置や既存農園の拡張の遅れの影響もあった。このほか、地元農産・水産品の需要も低迷した。この結果、卵、野菜、魚の自給率は2022年も伸び悩んだ(添付資料図参照)
SFAは食料自給率向上のため、農場が集まる北西部リム・チューカンをハイテク農業集積区へと再開発する計画だ(2023年3月3日付地域・分析レポート参照)。また、農地の入札を拡大していく方針としている。さらに、SFAは2023年3月、食材の15%以上(金額ベース)について、国産農産品を使用しているホテルやレストラン、ケータリング事業者を認証する「地産地消(Farm-to-Table)プログラム」を開始。地元消費者に対し、民間企業と協力して国産農産品の消費を促している。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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