時速1,000キロの低真空・超高速リニア実験線、ハルビン市で建設へ
(中国)
大連発
2023年05月17日
中国の5月9日付「黒龍江省日報」など現地メディア報道によると、ハルビン工業投資集団と北京九州動脈隧道技術は、時速1,000キロ以上で走行する超高速リニアモーターカーの実験線をハルビン市で共同建設する。低真空チューブの中を走行する世界初の超高速リニアの実験線となるという。低真空チューブの中は航空機が飛行する成層圏に近い気圧とされ、道路交通、鉄道交通、航空交通、水上交通に次ぐ第5の輸送手段と位置付けられている。超高速走行時の安全性の確保や省エネ、低コストなど多くのメリットを有し、実用化されれば、唯一時速1,000キロを超える公共交通手段となる。
北京九州動脈隧道技術は時速1,000キロの浮上式真空チューブ輸送技術の研究開発に力を入れている。浮遊式トンネルの技術、真空技術、磁気浮上式の技術などを組み合わせることで時速1,000キロを実現する。空気抵抗の低減によってエネルギー消費を70%以上削減し、悪天候や地震などの影響も受けにくいという。
ハルビン工業投資集団は地元の国有企業として、許認可手続きや補助金申請など現地政府との調整、資金提供など、研究開発の成果の産業化を最大限にサポートする。
国務院が2019年9月に公表した「交通強国建設要綱」では、時速600キロの低真空チューブリニアの技術蓄積と研究開発の必要性を提起した。また、2021年2月に発表した「国家総合立体交通網規画要綱」では「大都市間の高速磁気浮上式リニアの通路と実験線の建設を研究・推進する」ことも提唱した。
今回のプロジェクトの実施を通じて、輸送技術に関する製造業の高度化や、黒竜江省と東北地域の経済活性化(現地観光需要の増大など)が期待されている。
(李莉)
(中国)
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