G7広島サミット、グローバル・サウスを巻き込み結束強化へ
(世界、日本、イタリア、カナダ、フランス、米国、英国、ドイツ、EU、オーストラリア、ブラジル、コモロ、クック諸島、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、ウクライナ、ロシア)
国際経済課
2023年05月23日
G7広島サミット(主要国首脳会議)が5月19~21日に広島市で開催され、日本の岸田文雄首相、米国のジョー・バイデン大統領らG7首脳が出席した。また、招待国として、オーストラリア、ブラジル、コモロ〔アフリカ連合(AU)議長国〕、クック諸島〔[太平洋諸島フォーラム(PIF)議長国〕、インド(G20議長国)、インドネシア(ASEAN議長国)、韓国、ベトナムが参加。また、オンラインで参加予定とされていたウクライナのゼレンスキー大統領が急きょ来日し、ウクライナ支援について対面で議論されたことが注目された。
ロシアによるウクライナ侵攻を、国際社会の基本的な規範、規則および原則に違反する脅威と捉え、G7として国際秩序の堅持に向けた結束強化を表明。「コミュニケ(共同声明)(仮訳)」は、閉幕前の20日に前倒しで公表された。個別声明として、「ウクライナに関するG7首脳声明(仮訳)」「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン(仮訳)」「経済的強靭(きょうじん)性及び経済安全保障に関するG7首脳声明(仮訳)」「G7クリーン・エネルギー経済行動計画(仮訳)」「強靭なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明(仮訳)」が発表された。そのほか、自由で開かれたインド太平洋に関する連携、保健、ジェンダー、人権、デジタル、科学技術協力などの分野について議論された。
今回のサミットの主要テーマの1つである低・中所得国、いわゆる「グローバル・サウス」との連携では、グローバル食料安全保障の危機への対応に特に焦点が当てられた。同問題に対するG7の支援として、2022年のG7エルマウ・サミット(ブラック ジャック ブラック)で発表された世界の食料安全保障に対する140億ドルという共同コミットメントを上回る支援を既に行ったことを強調し、アフリカと中東を中心に食料危機の影響を受ける国・地域への支援継続を約束した。エルマウ・サミットで発足した「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」のファクトシート(仮訳)が公表され、これまでに実現してきた気候変動・エネルギー、デジタルインフラ、交通網などへの公的および民間投資を確認。2027年までに最大6,000億ドルを動員するという目標の実現について再確認した。
経済的強靭性については、デリスキング(リスク軽減)およびサプライチェーンの多様化が必要であることを強調。また、G7メンバー国や同パートナー国の外交・国内政策に対する影響力の行使を目的に一方的な経済的措置を講じる「経済的威圧」に対して、深刻な懸念を表明。全ての国に対してその使用を控えるよう求めるとともに、経済的威圧に対する共同の評価、準備、抑止および対応を強化するため、G7で「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を立ち上げ、G7以外のパートナーとの連携をさらに強化していくことを強調した。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相が広島市で行った記者会見によると、次回のG7サミットは、2024年6月にイタリア南部プーリア州で開催される。
(板谷幸歩)
(世界、日本、イタリア、カナダ、フランス、米国、英国、ドイツ、EU、オーストラリア、ブラジル、コモロ、クック諸島、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、ウクライナ、ロシア)
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