国際農業見本市(SIAM)を3年ぶりに開催
(モロッコ)
ラバト発
2023年05月16日
今回で15回目となるモロッコ国内最大の国際農業見本市(SIAM、Salon International de l’Agriculture au Maroc)が、5月2~7日の6日間、国内農作物の主要産地であるメクネスで3年ぶりに開催された。主催者によると、18ヘクタールの会場で、約70カ国から1,376社が出展し、92万3,000人以上が来場したとされている。
会場は、農業機械や家畜類、灌漑技術、加工食品、地場産品、スタートアップ、国内の12地域の紹介など11カテゴリーでブースを展開し、商品や技術、サービスの展示・説明を行っていた。農業機械ブースでは、米国のケースIH(Case IH)、ドイツのクラース(CLAAS)、トルコのハタット(Hattat)など国内外ブランドが大型トラクターや農業機械を展示した。
一方、加工食品分野では、地元財閥系食品大手のレ・ドメーヌ・アグリコール(LES DOMAINES AGRICOLES)やディアナ・ホールディングス(DIANA HOLDINGS)などが、輸出向けの野菜や果物類、チーズやミルクなどの乳製品、ワインなどの展示を行った。
インターナショナルブースでは、招待展示国に選ばれた英国をはじめ、欧州からフランス、ドイツ、イタリアなどが参加し、中東・アフリカからはトルコ、エジプト、コートジボワールやナイジェリアなど、そしてアジアから中国やインドネシアなどがブースを構えた。また、2020年に国交を回復したイスラエルが初めて出展し、灌漑や肥料、下水処理、精密農業などの技術を紹介した。
スタートアップブースでは、国内外30社が出展し、農業、食品、グリーン、水、エネルギーの各分野で技術を披露した。
会場を視察したところ、日系ブランドの中では、農業機械ブースの一角で、トヨタや三菱自動車が乗用車や商業車の展示を行っていた。過去に日本製品を取り扱ったことのあるモロッコ農業資材卸大手の社長は、モロッコのユーザーは欧州製のものなど、高い品質の製品を好んでいるが、価格重視であり、日本製品は品質が良いのだが価格が高いと印象を語った。
本見本市は、モロッコの農業、食品業界の現状や普及しているブランドを把握し、業界関係者と効率よく面識を得る良い機会だ。一方で、ビジネス関係者ではない、一般の来場者も多かった。
(本田雅英、ファティマザハラ・ベルビシュ)
(モロッコ)
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