ドイツ自動車部品メーカーのマルクアルト、チュ二ジアに第2工場を着工
(チュ二ジア、ドイツ)
パリ発
2023年05月15日
ドイツの自動車部品メーカーのマルクアルト(Marquardt GmbH、注)は5月4日、チュニジア・チュニス近郊のエル・フェジャの産業クラスター「ネオパーク」内で、チュニジアで2番目の工場建設を開始した。2024年春から高級車内用の高機能コントロールパネルを生産する予定だ。12万6,000平方メートルの敷地内に建物、機械、設備を含め5,000万ユーロ以上を投資し、技術者や製造スタッフを新規に1,500人雇用する見込みだ。
同社は1991年にチュニジアに進出し、2014年にはチュニス近くのエル・アグバ工業地区に同国で初めての製造拠点を設置し、現在は従業員約2,000人を雇用している。
近年、ドイツの自動車部品業界はチュニジアへの追加投資を積極的に行っている。ドレクスルマイヤーは1974年以来、チュニジアでワイヤーハーネス製造を中心に、5カ所に工場を操業している。2023年3月には同社のR&Dセンター「スース・ハブ」が完成し、同社のアフリカ本社となる予定だ。
チュニジア政府は、2022年7月に締結された「自動車・自動車部品製造部門の官民パートナーシップ協定」を通じて、2027年までに同部門の輸出額を75億ディナール(約3,300億円、1ディナール=約44円)から140億ディナールに引き上げ、現在の9万人から15万人まで雇用を拡大することを目指している。特に電気自動車(EV)とスマートカーの製造分野での高度な研究開発投資を誘致するため、マルクアルトが新工場を設置するネオパークなどの産業クラスターの総合インフラの提供に力を入れている。また、2019年には自動車部品を製造する住友電工のドイツ法人の住友エレクトリック・ボードネッツェ(SEBN)がチュニジアで2番目の工場を開設している。
(注)マルクアルトは1925年に創業。電気機械や電子スイッチ、スイッチシステムの世界的大手メーカー。同族会社でドイツのリートハイム・バイルハイムに本拠を置く。メカトロニクス専門の同社製品(操作部品、車両のアクセス、ドライブ・オーソリゼーションシ・ステム、バッテリー管理システムなど)は自動車業界で広く利用されている。日本にも販売拠点を有する。
(渡辺智子)
(チュ二ジア、ドイツ)
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