大統領選、直近世論調査で野党候補者の支持率が50%を上回る
(トルコ)
イスタンブール発
2023年05月11日
トルコでは、5月14日に投票が迫った大統領選挙と国会議員選挙に向けて、与野党の各連合が活発な選挙運動を展開している。運動期間は13日まで。
レジェップ・タイップ・エルドアン現大統領を擁立する共和連合(与党連合)は、2月6日に発生した大震災を受け、選挙キャンペーンの国民向け大規模集会は開催しないとしていたが、支持率が伸び悩んでいることから方針を転換し、全国各地で大規模集会を開催している。主に、防衛産業の強化、震災被害者への支援、アックユ原子力発電所の稼働、住宅向けの天然ガス料金の1カ月間(5月)の無料化などを打ち出して、国民にアピールしている。金融政策は従来どおりの方針を維持するとしつつも、高インフレによって購買力が低下していることを受け、公的機関の労働者の賃金を福祉負担分含めて45%引き上げるなどの方針を示す。
対する国民連合(野党連合)の共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首は、政治思想が異なる6党を束ねるリーダーとして、連合間で合意した経済、司法、外交、教育など各分野の政策をベースとする公約を掲げている。また、前提として、大統領の権限を減らし、国会の権限を強化する方針を前面に打ち出している。クルチダルオール党首は、野党連合以外の各党とも会談し、労働自由連合〔緑左派党(YSP)、クルド系旧国民民主主義党(HDP)を含む〕の支持を得た。
世論調査会社マク・ダヌシュマンルク(MAK Danismanlik)が4月26日~5月4日に5,750人を対象に行った調査では、エルドアン大統領の支持率45.4%に対して、クルチダルオール党首は50.9%を獲得した。他の世論調査会社や各メディアによる調査でも、クルチダルオール党首の支持率がエルドアン大統領を上回る結果が出ているが、依然として予断は許されない状況だ。得票率が過半数に達すれば、5月14日に大統領が決定し、決選投票は不要となる。
前述のマク・ダヌシュマンルクの国会議員選挙の支持率調査では、共和連合(与党)が43.7%、国民連合(野党)は41.4%、国民連合と協力している労働自由連合が10.5%だった(添付資料表参照)。国会議員選挙では、与野党とも過半数の議席を獲得することは難しいだろうと予想されている。
(エライ・バシュ)
(トルコ)
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