米国のレモンド商務長官とタイUSTR代表、中国の王商務相と相次ぎ対面会談
(米国、中国)
ニューヨーク発
2023年05月29日
米国のジーナ・レモンド商務長官とキャサリン・タイ通商代表部(USTR)代表は5月25~26日、それぞれ中国の王文濤商務部長(商務相)とバイ会談を実施した。
レモンド氏は25日に、バイデン政権発足以降初めて首都ワシントンを訪問した王氏を迎えて会談に臨んだ。会談は両国間の開放された対話ラインを維持し、責任あるかたちで2国間関係を管理する取り組みの一環として行われた。米商務省が公表した会談要旨によると、両者は潜在的な協力分野を含めて率直で本質的な議論を交わしたとしている。一方で、レモンド氏は、中国で事業を行う米国企業に対する最近の中国政府による措置について懸念を表明したとしている。具体的な案件は示されていないものの、中国内の重要インフラ運営者に対して米半導体大手マイクロン製品の調達を実質的に禁止した措置などを指しているものと考えられる(米上院トップのシューマー議員、中国によるブラック)。
タイUSTR代表は26日に、APEC貿易相会合を開催したミシガン州デトロイトで王氏との会談に臨んだ。USTR公表の会談要旨によると、タイ氏は、世界経済における米中両国関係の重要性について議論を交わした一方、中国の国家主導の非市場的な経済・通商政策が引き起こしている重大な不均衡に対応していく必要性を強調した。さらに、レモンド氏と同様、中国政府による米国企業への措置についても懸念を示した。今後の協議の道筋について言及はないが、タイ氏は2022年11月にインドネシアのバリで開催された両国の首脳会談での約束に基づいて、両国間の開放された対話ラインを維持することの重要性を強調したとしている(関連ブラック ジャック ルール)。
会談を評価する上で、オバマ政権でUSTR次席代表補を務めたウェンディ・カトラー現アジア・ソサエティ政策研究所(ASPI)副所長は、たとえ限られた分野でも双方が建設的に取り組めることを模索する時間を確保できるかがカギと指摘している。その上で、もし双方が互いの行動を非難し合って意見の不一致を広げることに時間を費やすようであれば、最悪の結果になるとした(政治専門紙「ポリティコ」5月26日)。緊張が続く中、ようやく閣僚レベルの対面会談が実現し始めた米中関係の今後の進展に注目が集まる。
(磯部真一)
(米国、中国)
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