「日英広島アコード」に両国首相が合意、さらなる関係深化へ

(英国、日本)

ロンドン発

2023年05月19日

広島でのG7サミット参加のために訪日している英国のリシ・スナク首相は5月18日、岸田文雄首相とワーキングディナーを実施。「強化された日英のグローバルな戦略的パートナーシップに関する広島アコード(日英広島アコード)」(英文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)概要PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))を発出した。

英国政府はこれに先立つ17日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、日英関係が他の国際的パートナーと比べても急速に深化していることに言及。日本がインド太平洋地域で極めて重要な役割を果たし、英国の安全保障と繁栄にとって中心的な存在としていた。

日英広島アコードの概要は次のとおり。

  • 安全保障上の課題に対してより密接に協議、大規模で複雑な共同演習・計画のプログラムを実行することにコミット。両国の防衛、安全保障分野の産業連携に取り組む。
  • 環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)も通じ、自由、公正かつ強靭(きょうじん)な、ルールに基づく国際経済秩序を擁護し、経済安全保障上の課題に係る緊密なパートナーシップにコミット。また、人工知能(AI)や量子などの新興技術分野を含め、戦略的優位性の維持に向けて取り組む。さらに、半導体の重要性を認識し、新たなパートナーシップを創設。
  • 再生可能エネルギーのさらなる導入を可能にするパートナーシップを強化、持続可能な開発目標の進展加速に向け協働。多国間機関と国際金融システムの有用性を改善するとともに、途上国を含む国際社会の課題に対応すべく行動。

経済分野の協力では、日本の経済産業省と英国のビジネス・通商省との閣僚級会合の創設も盛り込んだ。ビジネス環境や市場アクセス促進を含む、貿易・投資分野での協力深化に向けた日英包括的経済連携協定の活用や、脱炭素化や貿易のデジタル化などの分野での協力強化など、両国間の貿易・投資エコシステムの支援も挙げた。そのほか、重要鉱物に関する協力覚書を2023年中に作成。強靭かつ持続可能な資源へのアクセス確保を補強するとした。

クリーンエネルギー移行に関しては、洋上風力・原子力を中心に、導入加速に向けて協働するとした。原子力については、小型モジュール炉(SMR)や次世代炉を含む先進原子力技術など、原子力エネルギーに関する協力へのコミットメントを確認した。

スナク首相は18日のディナーに先立ち、東京で日本の企業トップとのレセプションに参加している(2023519日記事参照)。

(山田恭之)

(英国、日本)

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