法定労働時間を2024年から段階的に40時間に短縮
(チリ)
サンティアゴ発
2023年05月09日
チリ国会は4月11日、法定労働時間を現行の45時間から段階的に40時間に短縮することを含む労働法の改正法案を可決し、4月26日付の官報公示によって施行した。同法案は、2017年に当時の下院議員で現在の内閣官房長官であるカミラ・バジェホ氏らが主導して国会に提出したもので、ガブリエル・ボリッチ政権の主要政策のうちの1つ。
法定労働時間の短縮は、5年をかけて段階的に実施される。まず、法律の施行から1年後となる2024年4月に現行の45時間から44時間へ短縮し、3年後となる2026年に42時間、5年後の2028年に40時間まで短縮する。
ほかにも、家庭内に12歳未満の児童を抱える労働者は、雇用者との合意によって出退勤時間を就業時間の1時間前から1時間後までの間で変更できる、フレックスタイム制の導入や、すでに週の労働時間が40時間以下の企業に関しては、週4日勤務制(週休3日制)の選択を可能にするなど、企業側が自社の労働環境を見直すきっかけとなるような条文も加えられている。
OECDのデータによると、2021年のチリの労働者の平均労働時間は年間1,916時間で、OECD加盟国の平均である1,716時間と比較して200時間も長い。また、加盟国の中でチリよりも平均労働時間が長かった国はメキシコ(2,128時間)、コスタリカ(2,073時間)、コロンビア(1,964時間)の中南米3カ国のみだった。ボリッチ大統領は「われわれは、国の原動力である労働者とその家族の生活の質の向上のために、非常に重要な一歩を踏み出した。(本取り組みによって)労働者が尊厳を持って生活を営む、より良い社会が実現できることに疑いの余地はない」とコメントし、法律の施行を歓迎した。
(岡戸美澪)
(チリ)
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