好調な中古車販売、高級車でも増加のトレンド

(ロシア)

欧州課

2023年05月09日

ロシアで中古車市場が好調だ。自動車市場調査会社アフトスタト(4月13日)によれば、2023年3月の中古乗用車の販売台数は49万7,600台で、前年同月比17.3%増となった。販売台数をブランド別にみた場合、1位は地場乗用車最大手アフトワズの「ラーダ」だったが、2位以降は外国ブランドが占め、外国ブランド車への人気が根強いことがうかがえる(添付資料表参照)。販売台数の多い上位10ブランドのうち、ラーダとルノー以外は前年同月比で2桁の伸びとなった。

中古車販売が伸びている背景の1つに、中古車市場に幅広い車種が出回っていることが挙げられる。ロシアによるウクライナ侵攻後、国内では新車不足の状態が続く。中古車であれば、新車に比べて選択肢が豊富なことから、「買い手の関心は中古車にシフトしている」と独立系の自動車コンサルタントであるセルゲイ・ブルガズリエフ氏は話す(「イズベスチヤ」紙4月21日)。

中古車市場では高級車も増えている

個人間売買のフリマサイトの運営から人材や不動産の紹介まで多岐にわたる事業を展開する地場広告大手「Avito.ru(アビト)」の自動車部門、アビト・アフトがイズベスチヤ紙(2023年2月8日)に語ったところによると、2023年1月に中古タイプのメルセデス・ベンツやレクサスなど高級車の出品広告の掲載数は前年同月比で63%増と大幅に増加した。2022年には、高級中古車の販売は前年比55%増を記録している。

ただ、ブラック ジャック ブラック クイーンからの輸入は除き、ロシアで使用されてから市場に出回る高級車の数が増えている現状は、ウクライナ侵攻後のロシア経済の苦境を物語っている。専門家は、ロシア人が高級車を手放すようになった理由として、所有者が(移住目的で)国外に出た、もしくは出ようとしていること、そしてアフターサービスの値上げなどにより維持費が高くなりすぎたことを指摘している(「コメルサント」紙4月17日)。また、ランドローバーやロールスロイスなどの一部のモデルでは重要な車載ソフトウエアの更新ができなかったり、メンテナンス部品の不足が原因でもともと1週間程度の修理に1カ月以上もかかったりすることがある。より実用的なモデルへの乗りかえのために、高級車が売りに出されるケースもある(「イズベスチヤ」紙2月8日)。

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