野党・アンナハダ党のガンヌーシ党首逮捕

(チュニジア)

パリ発

2023年04月28日

チュニジア治安当局は4月17日、野党のイスラム派政党「アンナハダ」のラシード・ガンヌーシ党首(81)の家宅捜査を実施して同党首を逮捕し、翌18日、首都チュニスにある同党本部の閉鎖に加えて、同党が中心となっている野党連合「国民救済戦線(FSN)」の本部も閉鎖した。アンナハダは2022年7月の憲法改正前の人民代表議会の第1党で、同年3月に議会が解散される前まで、ガンヌーシ氏が議会議長を務めていた。

4月17日付「TAP」通信によると、ガンヌーシ党首は司法テロ対策部門の検察庁が発行した令状に基づいて逮捕された。15 日に行われたFSNの集会でガンヌーシ党首が「アンナハダ党、政治的イスラム教、左翼のないチュニジア社会はあり得ない。これらの政治的構成要素の1つを排除しようとする試みは、内戦につながるだけだ」と発言したことが逮捕の直接的動機とした。ガンヌーシ党首の弁護士によると、同様に同党の幹部なども、刑法第68条と72条に基づいて「国家安全保障に対する陰謀」の罪で起訴されている。

フランス外務省は「表現の自由と法の支配の尊重の重要性を再確認し、チュニジア当局に対し、司法の独立と弁護の権利を尊重するよう求める」とコメントし、米国やEUをはじめ欧州諸国も同様に懸念を表明した。それに対し、カイス・サイード大統領は4月20日、「チュニジアは独立した主権国家だ。内政問題への干渉は受け入れられない」と強く非難した。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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