牧野フライス製作所、同社アジア最大の武漢工場で本格生産を開始
(中国)
武漢発
2023年04月26日
マシニングセンタ(注1)などの工作機械で世界トップクラスのシェアを有する牧野フライス製作所は4月7日、中国・湖北省武漢市で「牧野汽車装備(武漢)」(マキノ・ジェイ・チャイナ、以下MJC)の開業式典を開催した。MJCでは今後、自動車関連メーカー用工作機械(立形マシニングセンタ、横形マシニングセンタなど)の生産・供給を行う。
牧野フライス製作所は2019年2月、中国における電気自動車(EV)生産の急増を見越して、中国全域に自社製品を提供できる武漢市にMJCを設立。武漢市経済技術開発区が提供する仮工場で試験生産を行いつつ、自社工場の建設準備を進めていた。2020年から始まった新型コロナウイルス感染症対策などにより、自社工場の建設は難航したものの、2021年に自社工場を竣工(しゅんこう)。2022年6月から本格的な生産を開始した。牧野フライス製作所が中国国内に工場を建設するのは、2002年の江蘇省昆山市以来約20年ぶりとなった。
MJCは、牧野フライス製作所のアジア事業の統括拠点であるマキノアジア(シンガポール)が100%出資。マキノアジア(シンガポール)が出資する4カ所の生産拠点(注2)の中でも最大の生産規模を有する。MJCの建設用地は17万平方キロで、うち今回稼働した第1期工場では約5万平方キロが利用された。同工場では、高い自動化水準と効率性を有する生産システムを採用し、高精度な立形マシニングセンタ、横形マシニングセンタなどの加工生産設備を生産する。MJCは2025年までに年産1,500台、年商20億元(約380億円、1元=約19円)を見込む。
開業式で、MJCの田村泰幸総裁は今後の事業展望について、「EVなどの新エネルギー車の関連部品を生産できる工作機械を供給していく。現在は中国地場自動車メーカーなどが主要顧客。当面は既存取引先への供給に追われている状況だが、今後は日系を含む外資系や、取引のない中国地場自動車メーカーとのさらなる取引拡大を進める。MJCは輸出拠点としての認可も受けており、将来的にはグローバルに製品を供給していきたい」と述べた。MJCは、まず中国国内市場向けの製品生産・供給から開始し、将来的には第2期、第3期の工場建設を通じて、グローバルな生産・輸出拠点として運用していく方針を掲げている。
(注1)工具の交換を自動で行い、切削や穴あけなどの多種類の加工ができる機能を備えた工作機械。
(注2)武漢市以外では、江蘇省昆山市とシンガポール、インドに生産拠点がある。
(佐伯岳彦)
(中国)
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