深刻化するエネルギーインフラの老朽化、近代化が急務
(カザフスタン)
タシケント発
2023年04月14日
カザフスタンの民間調査会社ジューサン・アナリティクスは4月7日、国内の基本インフラの現状分析を行った(同社発表4月7日)。
同分析によると、カザフスタンの一戸建て住宅や集合住宅の30%が50年以上前(1970年以前)に建てられたもので、危険な状態の住宅が1,900戸・棟あり、3万人が暮らしている。
特に問題が深刻なのは、エネルギー供給網と熱併給発電所の老朽化だ。前者では、送電網(46万7,000キロ)の65%、熱供給網1万2,681キロの49%が老朽化しており、後者は全体の25%に当たる3,214キロは早急な交換が必要と指摘した。国内の熱併給発電所37カ所中の19カ所で早急な修繕・近代化が求められるという。
2022年から2023年にかけての冬季シーズンでは、熱併給発電所や熱供給網の事故が相次いだ。北東部パブロダル州エキバストス市では熱供給が停止し、多くの市民がマイナス30度の極寒の状態に置かれ、社会問題化した(注1、カズインフォルム2022年11月27日)。
これらインフラの近代化を促すため、設備近代化に投資した事業者を対象に、政府は採算に合った料金設定を認める新制度(注2)の導入を検討している(カズインフォルム2月1日、リテル4月4日)。アルマサダム・サトカリエフ・エネルギー相は、次の冬に向けて国際コンサルタントが37の熱併給発電所を現在評価しており、近代化のロードマップを作成すると述べている(首相府ウェブサイト4月11日)。
(注1)エキバストス以外に、東カザフスタン州リデル市、カラガンダ州テミルタウ市、コスタナイ州ルドヌィ市などの一部地域でも熱供給が停止した。
(注2)同様の制度は2009年から2015年まで導入されており、事業者のインセンティブを高め、余剰電力量が増産されるなど、一定の効果があったとされる(インフォームビューロー2022年11月28日)。
(増島繁延)
(カザフスタン)
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